9月1日は何の日か知ってる?


日本で初めて50円硬貨が発行された日だね。


へえー、そうなんだあ……ってそうじゃない!防災の日よ!


防災の日?


そう、9月1日が防災の日で、8月30日から9月5日までが防災週間って決められてるの。


知らなかったよ。で、それがどうしたの?


9月は季節の変わり目でもあるし、部屋の掃除をする人も多いでしょ?


そうだね。


実は掃除って防災を意識するのにいいきっかけになるの。だから今日は掃除のついでに意識できる防災について話そうって思って。


なるほど。日本は地震や台風の多い国だから、防災意識を持っておくに越したことはないもんね。

防災の日は台風や高潮、津波、地震といった災害への認識を深めて、その対策への意識を高めるための日として、1960年の内閣によって制定されました。1982年からは8月30日から9月5日までが防災週間と定められ、自治体を始めさまざまな形で防災意識の啓発を行っています。

とはいえ、いくら「防災の日」「防災週間」と言われても、何をどうすれば防災になるのかがわからない人も多いはず。でも実は日常的にやっている掃除のついでにできる防災はたくさんあります。特に地震対策について考えるにあたっては、掃除はとてもいいきっかけになります。

そこでここでは、主に地震に注目して、掃除のついでにできる防災について紹介します。

INDEX
  1. 地震が起きるとどんな被害が出る?
  2. 「掃除のついで」に防災しよう!
    1. 寝室編
    2. リビング編
    3. キッチン編
    4. 「このまま地震が起きたら」と考えてみる
    5. まとめ

地震が起きるとどんな被害が出る?

地震の被害

・物が落ちてきて怪我をする。
・棚や家電などが倒れてきて下敷きになる。
・窓ガラスや落下した照明器具などが割れて怪我をする。
・食器棚の中身が飛び出てくる。
・コンロの火に燃えやすいものや油類が引火して火事になる。 など

大きな地震が発生すると、こうした被害が起きる可能性があります。以下は2011年に起きた東日本大震災、1995年に起きた阪神・淡路大震災、1923年に起きた関東大震災でそれぞれ亡くなった人たちの死因を分析したデータです。

大学190801資料2_国土交通省「平成22年度国土交通白書」
出典:国土交通省「平成22年度国土交通白書」

東日本大震災では大きな津波が発生したこともあり、死者1万3,135名のうち9割以上が溺死となっていますが、阪神・淡路大震災においては8割以上の人が「建物倒壊による頭部損傷、内臓損傷、頸部損傷、窒息・外傷性ショック等」で亡くなっています。

関東大震災では「火災」が死因の約9割を占め、「住家全潰」は10%程度ですが、この地震の死者は10万人以上に上るため、それでも1万人以上が亡くなっていることになります。

数字を分析してみると、道を歩いていて建物の倒壊に巻き込まれた人などを差し引いても、建物内で亡くなった人がかなりの数になることがわかります。家の中での防災がいかに重要かがわかるのではないでしょうか。

「掃除のついで」に防災しよう!

しかし「万が一の備え」はなかなか実行できないもの。事実、損保ジャパン日本興亜が2019年2月のニュースリリースで発表した「災害への備えに関するアンケート」の結果によれば、8割弱の回答者が自然災害の発生確率が高まっていると感じているにもかかわらず、4割弱が地震・津波への備えをしておらず、5割強が大雨・台風、雪災への備えをしていないことがわかります。

ただ、備えをしないまま万が一の災害が起きれば、取り返しのつかないことにもなりかねません。掃除のついでに防災を少しずつ進めていくことで、最悪の事態を防ぎましょう。

寝室編

ベッド

寝室にいる際に地震が起こった場合、怖いのは暗闇のなかで割れた窓ガラスや照明器具の破片を踏みつけて怪我をしてしまうこと、またタンスなどが倒れてきてその下敷きになることなどです。怪我や事故を防ぐためにも、掃除のついでに災害対策を進めましょう。

掃除をする場所 掃除の内容 そのついでに……
窓を磨く。 飛散防止シートなどを汚れがつかないうちに貼っておく。
照明 照明のホコリを払う。 シェルフなどがきっちり固定されているかを確認する。
タンスなどの棚 棚の上のホコリを払う。棚の上や中を片付ける。 L字金具や伸縮棒などを使って転倒を防止する。重いものを棚の上に置かないようにする。

タンスなどの棚にあまり物が入ってないとか、使い勝手が悪くて持て余しているというような場合は、不用品回収業者などに依頼して回収してもらうのも賢いやり方です。そもそも転倒してくるものがなくなれば、それが原因で事故が起きることもないからです。同じく照明も、吊り下げ式のものではなくシーリングライトなどに変えれば落下する心配がなくなります。

リビング編

リビング

リビングにはテレビや本棚などを置いている人も多いのではないでしょうか。転倒すれば怪我や事故の原因になりますし、テレビに関しては液晶が割れてしまって買い換えになる可能性もあります。

掃除をする場所 掃除の内容 そのついでに……
テレビ、テレビ裏 ホコリを払う。 テレビ用の固定具を設置する。
本棚などの棚 ホコリを払う。もう読まない本を処分する。 L字金具や伸縮棒などを使って転倒を防止する。背の低い本棚に買い換える。

テレビの災害対策には専用の固定具があり、脚部の裏に貼って強力な粘着力で固定するシートタイプのものや、金具を使ってがっちりとテレビ台に固定してしまうものなど、様々なタイプがあります。とりわけ粘着シートタイプのものは、ホコリがあるとうまく固定できないので、掃除のついでに貼り付けるのがちょうどいいでしょう。

本棚に関しては読まない本を不用品回収業者や古本業者などを利用して処分したうえで、倒れにくい背の低い棚に買い換える、というのも選択肢の一つです。また本を入れる際も、重心が下になるように重い本を下から順に入れていくと、より倒れにくくなります。

キッチン編

キッチン

火気もあれば、包丁などの刃物、熱湯や割れ物など、地震が起きるとキッチンには危険がいっぱいになります。また食器棚や冷蔵庫は重量もあるため、下敷きになれば無事では済みません。そのため、キッチンの災害対策はとても大切になります。

掃除をする場所 掃除の内容 そのついでに……
冷蔵庫 ホコリを払う。 L字金具や伸縮棒などを使って転倒を防止する。
食器棚 ホコリを払う。使わない食器を処分する。 L字金具や伸縮棒などを使って転倒を防止する。食器が飛び出さないような対策をする。
ガスコンロ 油汚れを取り除く。コンロ周りを整理整頓する。 布製品など、燃えやすいものを周りに置かないようにする。

いくら食器棚自体を固定していても、揺れで扉が開いて食器が飛び出せば割れて怪我の原因になってしまいます。そのため簡単に扉が開かないような対策をしたり(「ベビーガード」と呼ばれるドアストッパーなど)、そもそも揺れでは開かないタイプの棚に買い換えたりといった対策が必要です。

ガスコンロに関しては、近年震度5以上の地震など異常事態が発生すると自動的にガスの供給がストップするガス漏れ遮断機(ガスマイコンメーター)が設置されているところが多いため、あまり神経質になる必要はありません。ただ、万が一のことを考えると「燃えやすいものを周りに置かない」程度の対策をしておいて損はないでしょう。

「このまま地震が起きたら」と考えてみる

地震が起きたときに家のなかで起きる危険なことといえば「倒れる」「飛び出る・落ちる」「割れる」の3つです。具体的にいえば棚が倒れる、食器が飛び出る、窓ガラスが割れるなどです。これを念頭に置いたうえで、掃除をするときに部屋を眺めてみましょう。

そして「このままの状態で地震が起きたら、自分や家族はどうなるだろう?」と考えるのです。そうすれば自ずと防災の必要性が理解でき、どのような対策を施せばいいかもわかってくるはずです。

まとめ

へえ〜、けっこうできることがあるんだね。


そうなの。多少手間はかかるけど、防災週間の7日間に分けてやれば大した手間じゃないし。


せっかくの機会だし、僕もやっておこうかなあ。


後悔先に立たず。今のうちからやっておくことをおすすめするわ。

全世界で起きるマグニチュード6.0以上の地震のうち20%が日本の付近で発生しており、台風が上陸している数でも日本は世界トップクラスです。

これだけ自然災害の多い国で暮らしていくのであれば、相応の対策は必要不可欠。特に今後は気象の変化などの影響で、今まででは想像もできないような災害が起きる可能性もあります。万が一が起きたときに後悔する前に、掃除のついでに防災意識を高めておきましょう。