引っ越しや買い替えをきっかけに、今ある家具や家電をリサイクルショップに買い取ってもらいたいと思って電話したものの、「それでは買取は難しい」と断られるケースは少なくありません。
これは買取を依頼する消費者側の買取してもらえる家具・家電の基準と、買取をするお店側の買取できる家具・家電の基準がズレていることが、原因の一つです。ここではこのズレを解消するために、リサイクルショップから見た買取できる家具・家電の基準について解説します。
まずは取り扱い品目を確認する
リサイクルショップと言っても、古本を中心に扱っているお店や、家具や家電を中心に扱っているお店、音響機器や楽器などの専門的な品目を扱っているお店など実に様々です。
・一般的な品目:家具、家電、食器、アパレル、おもちゃ、食器など
・専門的な品目:貴金属、音響、楽器、ゴルフクラブ、電動工具、乗り物系のほか、数が必要な本やゲームなど
こうした取り扱い品目は、各企業だけでなく各店舗によっても違うケースがあります。そのため、買取を依頼する際はリサイクルショップのホームページなどを見て、売ろうとしている品物が取り扱い品目に該当するかを事前に確認しておく必要があります。もし買取を依頼しようと思ったリサイクルショップで取り扱いがなければ、検索エンジンに「地域名 品物 買取」などと入力すれば、取り扱いのあるリサイクルショップを見つけることが可能です。
しかし取り扱い品目に当てはまったとしても、必ず買取してもらえるわけではありません。買取を依頼する側からすれば「タダでもいいから持っていってほしい」「年数は経っているけど、状態はいいから」「安かったけど買ったばかりだから」など色々な思いがあるかもしれませんが、リサイクルショップにも全ての品物を買取するわけにはいかない理由があります。
以下ではこうしたお店側の事情も踏まえたうえで、家具・家電の買取を依頼する消費者側が「これはリサイクルショップに頼むべきか否か」を自分で判断するためのチェックポイントを解説します。
買取してもらえる家具・家電かどうかを判断するためのチェックポイント
買取してもらえるかどうかの基準は、品物が家具なのか家電なのかによって変わります。以下ではそれぞれについてフローチャートを示しながら、買取してもらえるかどうかをチェックしていきましょう。
買取してもらえる家具かどうかを判断する
□寝具かどうか?
□壊れていないか?
□汚れや傷はないか?
□使用年数はどれくらいか?
□新品価格はいくらか?
□分解は必要か?
□人気のない色やデザインではないか?
家具のチェックポイントは全部で7つ。以下ではこれらがチェックポイントになる理由も含めて、一つずつ解説していきます。
寝具かどうか
ベッドやマットレスなどの寝具は直接肌に触れるうえ、あまり頻繁に掃除できるようなものではないため、よほど新しいものでもない限りもともと中古が売れにくい家具です。ましてや古いものになるとなおさら売れにくくなります。売れなければリサイクルショップ側に利益がないため、その結果として買取してもらえる可能性が低くなります。
壊れていないか
寝具ではなく机や椅子などでも、壊れていれば買取してもらえる可能性は大きく下がります。もちろん中には修理すれば使える家具もありますが、修理をするには時間も手間も、人件費や材料費などのコストも必要です。それらを考慮したうえで値段をつけるとなると、リサイクルショップとしてお金を払って買い取ることが難しくなるのです。
汚れや傷はないか
壊れていないにしても、汚れや傷がある場合も買取価格が大きく下がり、最終的には買取不可になるケースもあります。これは、汚れや傷がある机や椅子、棚が売れにくいことが原因です。リサイクルショップから見た買取できるかどうかの判断基準は、基本的にこの「中古品として売れるか」にあります。
また売れにくい家具を売る方法の一つは、なるべく店頭価格を安くすることですが、仮に売れたとしても利益が出なければリサイクルショップの経営は成立しません。そうなると仕入れ値=買取価格を安くする必要があるため、結果的に売れにくい家具は買取価格が安くなりがちなのです。
使用年数はどれくらいか
汚れや傷などは主観的な要素があるため、買取を依頼する消費者側からすれば「状態はかなり良い」と思っていても、リサイクルショップ側に「状態はかなり悪い」と判断される場合もあります。その際の客観的な指標の一つが使用年数です。例えば2~3年程度であれば、良い状態が期待できます。一方で10年~20年になるとどんなに丁寧に使っていても、中古品として販売できる状態にない可能性が高くなります。
新品価格はいくらか
しかしある程度状態が悪くても、新品価格が数十万円~数百万円するような家具であれば、買取してもらえる可能性があります。これに対して大量生産の安価な家具の場合、中古で購入しようという人がそもそも少ないため、状態が良くても買取してもらえない可能性があります。ここでもポイントになるのは、「自分が中古で売っていたら、買おうと思うか」「仮に売れたとしても利益は出るのか」という視点です。
分解は必要か
自宅の入り口などのサイズによって、分解が必要な家具もあります。しかし家具の中には分解すると極端に強度が落ちるものもあるため、そのような場合は買取をしてもらえない可能性が高くなります。
人気のない色やデザインではないか
リサイクルショップにとって売りにくい色やデザインだった場合、その点を考慮した買取価格になります。そこにこれまで見てきたようなチェックポイントが重なると、買取価格が0円になってしまい、買取にならないというケースがあります。
買取してもらえる家電かどうかを判断する
□壊れていないか?
□製造年はいつか?
□現在の実勢価格はいくらか?
□汚れや傷はないか?
続いて解説する家電のチェックポイントは全部で4つ。以下でも一つずつ解説していきます。
壊れていないか
「電源を入れても動かない」「動作に異常がある」といった家電に関しては、たいていの場合買取してもらえません。これは第一にリサイクルショップ側が売り物になるかどうかを判断しづらいためです。第二に修理すれば販売できる家電だったとしても、修理にかかるコストを加味してもなお利益は出るのかの判断が難しいためです。なぜなら家具の場合はその場で修理できるかどうかを判断できるケースもありますが、家電の場合はその場で判断できないケースが多いからです。
製造年はいつか
家電は次々と新しいモデルが販売されるほか、年式の古いものは修理なども難しくなるため、一定以上の古いものは買取してもらえなくなります。もちろん家電の品目や店舗にもよりますが、おおよそ3年以内ならだいたいのリサイクルショップが買取可能、5年以内なら半分以上の店舗が買取可能、5~7年だと買取できる店舗はかなり限られるというのが現状です。
現在の実勢価格はいくらか
新しいモデルが発表されると、家電の実際の販売価格(実勢価格)はどんどん安くなっていきます。そのため購入時には何十万円もした家電が、数年後には新品でも数万円で購入できるという状況が起こります。このような場合、リサイクルショップの買取金額は現在の実勢価格を基準に決まります。そのため実勢価格が安くなっているほど、そのぶんだけ買取金額も安くなり、場合によっては買取してもらえない可能性も生まれます。
汚れや傷はないか
家具の場合と同様、汚れや傷があるとそれだけで買取金額が下がり、買取してもらえない可能性も高くなります。
料金を支払えば「買取」してもらえることもある
買取不可と判断された家具・家電に関しても、消費者側から料金を支払えば、リサイクルショップもしくは不用品回収業者に「買取」をしてもらえる可能性があります。以下では有料なのに「買取」になる理由を、リサイクルショップの出張買取や不用品回収業者の出張回収の仕組みを踏まえて説明します。
どうして有料なのに「買取」なのか?
リサイクルショップの買取金額が、店頭での販売価格に対して安すぎると思った経験があるかもしれません。しかしこれには明確な理由があります。すなわち家具・家電についてのリサイクルショップの出張買取や不用品回収業者の出張回収の際の金額は、「作業料金」「出張料金」を込みにした金額になっている場合があるからです。
そのため、例えば買取金額が3000円の場合は、買取金額8000円-作業代金5000円=実際の買取金額3000円という計算式になります。つまりリサイクルショップがこの家具・家電につけた買取金額は、もともと8000円なのです。
有料になるのは、このもともとの買取金額が作業代金よりも安くなってしまった時です。例えば支払う料金が3000円の場合、買取金額2000円-作業代金5000円=実際の支払い金額3000円という計算式になります。買取金額としては2000円の金額をつけているため「買取」にはなりますが、そこに作業代金が加算されてしまうので、「有料での買取」になるというわけです。
ただし以下の家電4品目に関しては、別途法律で定められたリサイクル料金がかかるため、この限りではありません。
・エアコン
・テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)
・冷蔵庫・冷凍庫
・洗濯機・衣類乾燥機
「処分」するなら市区町村に頼るのが最安
「そんなにお金をかけたくない」というのであれば、「買取」ではなく「処分」という方法もあります。ただしこの場合は、法律の関係でリサイクルショップや不用品回収業者には頼めないケースがほとんどです。したがって市区町村の粗大ゴミ回収に出したり、ゴミ処理場に持ち込んだりする必要があります。
この方法が最も低コストで処分できるものの、リサイクルショップや不用品回収業者に頼んだ場合とは違って、自分でゴミ捨て場に出したり、ゴミ処理場に持ち込む必要があるので、時間や手間はかかります。そのため「処分」する場合と「買取」をする場合のメリットとデメリットを天秤にかけて、どちらがいいかを自分で判断する必要があるでしょう。
問い合わせの際は品番や状態の事前チェックを
今回は家具と家電について、買取してもらえるかどうかのチェックポイントを解説しましたが、チェックポイントをクリアできるかどうかの判断は会社やお店によって大きく変わります。そのため、明らかにクリアできていない場合は別として、判断に迷った場合は電話やメールなどを使って問い合わせてみましょう。