あ!フリマアプリに、欲しかったけど数量限定で売り切れて買えなかったゲーム機だ!定価よりかなり高いけど、欲しいなあ……。
それって、転売ヤーじゃないの?
え、でもよくあることだし、別にいいでしょ。
うーん……でも、実際に買う前に転売についてちょっと考えてみない?
マスクや最新のゲーム機など、近年いわゆる転売ヤーが社会的な問題として注目され始めています。オークションサイトやフリマアプリなど、個人間の売買が簡単にできるようになったことも、大きな要因の一つでしょう。
「欲しかったものを、自分の納得のいく価格で買うなら、転売ヤーから買ってもいいでしょ」と思っている人もいるかもしれません。しかし転売ヤーとの取引には、違法行為に巻き込まれたり、自分の好きなメーカーやブランドをダメにしたりするリスクがあります。
今回は、オークションサイトやフリマアプリを利用する人にとって身近な転売ヤーの問題について、じっくりと考えてみましょう。
転売は違法行為になるケースもある
転売はもともと自分で購入したものを他の人に販売すること。新品でも中古品でも転売にあたりますが、これが転売ヤーの定義ならスーパーやコンビニ、卸売業者や商社なども全て転売ヤーになってしまいます。
近年問題視されている転売ヤーとは、「数量が限定されるなど入手が難しい商品を転売目的で購入し、定価を超える高値で販売する個人」のことです。
こうした転売行為は、社会的に問題視され始めている一方で、実は法律や条例で禁止されていることは珍しく、基本的に合法です。しかし一部の商品は明確に転売が法律等で禁止されているほか、転売のやり方次第では違法行為になることもあります。
例えばチケットの転売はチケット不正転売禁止法に基づいて、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が科されることになっています。
衛生マスクの転売についても一時的ではありましたが、国民生活安定緊急措置法に基づくマスクの転売規制条例によって、違反者に対して1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科されることになっていました(2020年8月29日に解除)。
また、転売ヤーは利益を得るために大量に商品を購入しますが、その際に他人の氏名・住所等を使うこともあります。これはいわば販売をしているメーカーやブランド、店舗に対して身分を偽る行為です。そのため転売ヤーは刑法246条の詐欺罪に問われる場合があるのです。
実際、2018年にはチケット転売サイト「チケットキャンプ」の元社長らが、転売のための大量購入に協力したということで詐欺罪で逮捕されています。
加えて、転売品だと知ったうえで購入した場合は、状況によって盗品等有償譲受罪や詐欺ほう助罪の容疑がかかり、犯罪に巻き込まれるケースもあり得ます。
このように、転売ヤーから商品を購入するということは、違法行為の片棒を担ぐリスクを背負うということでもあるのです。「よくあること」になりつつある転売ですが、実は様々な危険と隣り合わせの行為と言えるでしょう。
転売がメーカーやブランドをダメにすることもある
先ほど転売行為は基本的に合法で、違法行為とみなされるケースの方が少ない、と書きました。では合法なら転売ヤーから購入しても何の問題もないのでしょうか。確かに法的には問題ないのですが、今度は別の問題が発生します。
というのも、ファン離れが起きることで、メーカーやブランドが商品やコンテンツを作り続けられなくなる場合があるのです。
読者の皆さんにも、ファンになっているメーカーやブランドがあるかと思います。
ファンになった理由は商品やコンテンツが優れているからだと思いますが、同時にそうした商品やコンテンツを購入しているからこそ、メーカーやブランドへの興味・関心が継続しているという側面もあるはずです。
そのため転売ヤーが買い占めなどを行って商品やコンテンツが手に入りづらくなれば、「手に入らないなら、別のでいいや」とメーカーやブランドへの興味・関心が途切れてしまいます。
場合によっては、最初は「転売ヤーが悪い!」と考えていても、徐々に「買えるようにしてくれないメーカーやブランドも悪い!」と考え始め、完全に気持ちが離れていくでしょう。
「私はそんなことは思わない」と言う人もいるかもしれません。しかしメーカーやブランドにとっては、100人のうち10人が思えば黄色信号です。だから同じように商品やコンテンツを作り続けるには、転売ヤーの存在はネガティブな要素なのです。
そのため、メーカーやブランドが好きで、その後も新しい商品やコンテンツを作り続けて欲しいと思うのなら、「合法だったら転売してもいい。転売ヤーから買ってもいい」という考え方には様々なリスクや問題があることを知っておいた方がいいでしょう。
まとめ
なるほど、こうやって考えると、欲しいからって安易に転売品を買っちゃダメだってことがわかるね。
違法行為じゃない以上は、あくまで個人の気持ちや価値観によるんだけどね。
教えてくれてありがとう。今回は諦めるよ。くるりのリサイクルショップで中古品として入荷したら買おうかな。
ふふふ、そうね。買取できたら最初にこんぶに教えるわね!
転売は、法律上認められているケースが多いため、違法にならないことも少なくありません。だからオークションサイトやフリマアプリに、定価よりも高く出品されている商品を購入しても、問題にならないケースもたくさんあります。
しかし、メーカーやブランドが好きで、その後も商品やコンテンツを作りつづけて欲しいと思うのなら、ここで触れたようなリスクや問題を念頭に置いたうえで、買うかどうかを判断したいところ。
自分や自分の好きな人たちが傷つかないよう、転売ヤーとの取引にはくれぐれも、注意しましょう。