INDEX
  1. 【買取編】リサイクルショップによくある「答えにくい質問」
    1. まだ動くのに、どうして買い取ってくれないの?
    2. シミも傷もない家具なのに、どうして買い取ってくれないの?
    3. 再販するんだし、買取価格上げてくれない?
    4. ネットで○○円で売ってたし、買取価格上げてくれない?
    5. なんで見積もりしに来てくれないの?
  2. 【販売編】リサイクルショップによくある「答えにくい質問」
    1. この冷蔵庫、どんな人が使ってたの?
    2. この洗濯機、ちゃんと動きます?
    3. ネットで○○円で売ってたから、値引きしてくれない?
    4. 1万円以下の安い洗濯機が入荷したら連絡くれない?
  3. リサイクルショップもつらいよ
はい、コンブ!ちょっとそこに座って!
どうしたの?
うるさい!私の話を聞くのよ!
あ、ハイ。
今日は私のリサイクルショップに寄せられる、普段じゃ答えにくい質問に、私がぶっちゃけて回答しちゃうわよ!
ぶっちゃけ回答って、どこまでぶっちゃけるの?
面と向かって言ったら、ものすごく怒られちゃうくらい。
え、ええ……それインターネットで言って大丈夫?
大丈夫、大丈夫♪今日はね、ぶっちゃけたい気分なの!
そ、そう。

日々様々なお客さんがやってくるリサイクルショップ。なかにはお店側がはっきりとは回答しづらい質問をする人もいます。今回はリサイクルショップの店長を勤めるかたづけ大学のヒロインくるりが、そういった質問に現役店長の立場からズバリ答えていきます

また単に質問に答えるだけでなく、そうした回答になる理由をリサイクルショップのビジネスの仕組みや、お店としての事情などもどんどん話してもらいます。買取価格や販売価格、在庫事情などリサイクルショップの裏側に興味がある人は必見です。
※取材させていただいた小規模店舗の現役店長による回答です。くるりの回答には当てはまらない店舗や違うスタンスの店舗もあります。

キャー、ヒロインだなんて!よおし、張り切っていこう!
なんだか心配だなあ。

【買取編】リサイクルショップによくある「答えにくい質問」

まずはリサイクルショップの買取について、お客さんから寄せられるよくある「答えにくい質問」の答えとその理由を解説していきます。

まだ動くのに、どうして買い取ってくれないの?

<現役店長のぶっちゃけ回答>
動くのと、売れるのとは違うんです。

「電源を入れればまだ動く10年前の洗濯機」「引き戸のガラスは割れているけど、それ以外はまだ現役の食器棚」こうした品物はお客さんからすれば、まだまだ使えて価値があるから買い取って欲しいと思うかもしれません。

しかし仮に自分が中古の家電や家具を買いに来たリサイクルショップのお客さんだとしましょう。「電源を入れればまだ動く10年前の洗濯機」を数千円も出して買おうという人はほとんどいないはずです。実際、古い洗濯機や目立つ傷のある食器棚などの商品は、店頭に出しても滅多に売れないのです。くるりが「動くのと、売れるのとは違うんです」と言っているのは、こういう事情があるからです。

「それならもっと安い価格で売ればいいじゃないか」と思うかもしれません。しかしお客さんの自宅まで出張買取に行く場合、その間の従業員の人件費やトラックのガソリン代など様々なお金がかかります。リサイクルショップに直接持ち込んでもらった場合でも、品物の動作チェックや清掃で人件費などのお金が必要になります。

そのためあまりにも安い価格で売ると、お店にとっては赤字になってしまう可能性があります。こうした理由からリサイクルショップは、買取の段階で利益が出そうにもない品物の買取を断っている傾向にあります。

シミも傷もない家具なのに、どうして買い取ってくれないの?

<現役店長のぶっちゃけ回答>
定価が安い家具を買い取ると、儲からないからです。

「買ってすぐ恋人との同棲が決まったから、家具を売りたい」「引っ越し代が高くつくから、あまり使わなかった安い家具を売りたい」お客さんからしてみれば新品同様の家具を売るのですから、ある程度いい買取価格を期待しても無理はありません。しかし定価が安い家具の場合、リサイクルショップには「無料引き取り」または「格安買い取り」で対応されることもあります。理由は2つです。

ひとつは安価な家具の中古品は利益が出にくいことが多いためです。

例えば定価が3万3,000円のソファーが新品同様の中古として3万円で売られていると、大半の人が新品を購入する傾向にあります。特に郊外型の大きな店舗を持つチェーン店の商品は低価格帯のものが多いため、リサイクルショップが中古品に利益をのせにくいのが実情です。

またメーカーなどの工場で組み立てされてから販売される大型家具などは、一度分解しなければリサイクルショップのトラックに積み込めません。ところがこうした大型家具は一度分解すると再度組み立てる際に強度が下がってしまうものもあり、商品としてのリスクが高くなってしまいます。

もうひとつの理由はコストです。

お客さんの自宅まで出張買取に行く場合は、前述した人件費にトラックのガソリン代以外にも、搬出時のトラブルなどに対応するための蓄えや駐車場代といったコストが必ずかかります。こうしたコストを計算に入れると、安い家具は買い取れば買い取るほど赤字になってしまいます。

結果、比較的安価な家具に関しては、無料で引き取るのがリサイクルショップの精一杯になることも多いのです。

再販するんだし、買取価格上げてくれない?

<現役店長のぶっちゃけ回答>
お店の利益込みの価格なので、上げられないことが多いです。

ここまで見てきたように、お客さんからすればそこそこ高いお金を払って買った品物も無料や格安での買取になってしまうため、「これだけ安く買って売るんだから、さぞかし儲かるだろうな」と怒り出してしまう人もいます。

某大手中古本チェーンなどには「店頭で105円で売る品物を5円で買い取っている。とんでもない買い叩きだ」といったクレームが寄せられることもあるそうです。しかし多少の違いはあるにせよ、リサイクルショップにもこうしたクレームはあるのです。

買取だけでなく、販売もするとなれば、さらにコストが必要になります。中古品として売り出すまでの動作確認や清掃をするための人件費、接客をするための人件費、借地でリサイクルショップを営業している場合は家賃などのコストも必要です。

大きな家具であれば売り上げにも悪影響をもたらします。家具を置いている場所に置けば売れたかもしれない別の商品が置けないわけですから、床面積当たりの売上である「1㎡当たり売上高」が低下するからです。

以上の理由から、リサイクルショップの利益を考えると、買取価格の引き上げは難しい場合があります。

ネットで○○円で売ってたし、買取価格上げてくれない?

<現役店長のぶっちゃけ回答>
売価と仕入れ値は違います。

近年は「ヤフオク!」や「メルカリ」などインターネットを使って個人が中古の家具や家電を買える時代になっています。そのため「中古で2万円で売っているから、買取価格は1万6,000円くらいかな」と期待を膨らませて買取を依頼する人も増えてきています。

しかし実際にはもっと安くなります。例えば新品で数十万円するプロジェクターやスクリーンモニターでも、オークションサイトでの落札価格は2万円弱になる場合がありますが、これをリサイクルショップに売ると6,000円程度の買取価格になることもあるのです。

こうなるのは、シンプルに売価と仕入れ値では価格が大きく違うからです。お客さんがオークションサイトでフリマアプリなどで見ているのは売価、リサイクルショップの買取価格はリサイクルショップにとっての仕入れ値です。その間には前述したような人件費などのコストが入るため、そのぶんだけ売価と仕入れ値には差が生まれます。

そのため「ネットで○○円で売ってたし、買取価格上げてくれない?」と言われても、上げるわけにはいかないことが多々あるのです。

なんで見積もりしに来てくれないの?

<現役店長のぶっちゃけ回答>
採算が取れない可能性があるからです。

リサイクルショップには、これによく似たパターンとして「不用品があるからとりあえず見に来て欲しい」という要望も寄せられます。
見積もりに来て欲しい時に店に問い合わせた時、品物の型番や年式、状態などを根掘り葉掘り聞かれた経験はありませんか?

ここまでのお話と同じく、リサイクルショップが出張買取をするには多くのコストがかかります。そのため何も情報がないけど「とりあえず」で見に行ってしまうと、10年前に製造されたテレビや底の抜けたタンス、冷えない冷蔵庫など蓋を開けたら売り物にならないような不用品ばかりだった場合、または買取金額の査定金額と希望金額に大幅な違いがあり買取を断られた場合に、出張した人件費の分赤字になる可能性があるのです。しかもこうした質問や要望は非常に多いため、仮に全てのお客さんの自宅に見に行っていれば、人件費が圧迫し、かなりのダメージを受けてしまう可能性もあります。

大手であれば膨大な依頼に効率的に対応することで、利益率の大きい品物の買取を増やし、採算を確保するのも可能かもしれません。しかし小規模なリサイクルショップの場合、もちろん二つ返事で見積もりにお伺いするリサイクルショップもありますが、実際にお客さんの自宅まで見に行って無料見積もりに対応するのは困難な場合が多いのです。

そのため、買い取り希望の問い合わせ時に年式や型番、状態など事細かに聞いた上で、電話口でおおよその買取金額を提示し、了承を得た上で出張買取またはお見積もりにお伺いする場合が多いです。

【販売編】リサイクルショップによくある「答えにくい質問」

くるり、本当にけっこうぶっちゃけたね。
まだまだぶっちゃけ足りないわ!次は販売編よ!

この冷蔵庫、どんな人が使ってたの?

<現役店長のぶっちゃけ回答>
正直、まったくわかりません。

冷蔵庫や洗濯機、ダイニングテーブルなど使用頻度の高いものほど、どんな人がどんな風に使っていたのかは気になるものです。そのため「どんな人が使ってたの?」という質問は非常に多く、「何年使っていたものですか?」という質問をされる方も同様にたくさんいます。

もちろんリサイクルショップとしては、正確な情報を伝えられるのであれば伝えます。しかしくるりが回答しているように、本当にわからない商品が大半なので、答えようがないのが実情です。

確かに自店舗の出張買取で仕入れたものであれば、使っていた人と直接やりとりをする機会はあります。しかし引き取りは、短いケースだと10~15分程度で終わってしまうため、相手がどんな人なのかを把握することはできません。不用品回収業者など他社からの仕入れになると、元の持ち主がどんな人だったのかを知ることはほとんどありません。

結果「どんな人が使ってたの?」という質問には「わかりません」と答えるしかないのです。

この洗濯機、ちゃんと動きます?

<現役店長のぶっちゃけ回答>
動作確認も清掃もちゃんとしてます。

こうした質問は、リサイクルショップでの買い物に慣れていない人や売価が安くて不安になった人などがよくする質問です。しかしリサイクルショップからすれば、むしろ「動かないものを売ると思いますか?」と聞き返したいところです。

リサイクルショップは買い取った品物を倉庫に移動し、そこで一つずつ動作確認を行なっています。例えば冷蔵庫なら一晩中電源につないでみて、翌朝になっても庫内がちゃんと冷えているかをチェックします。洗濯機なら一度回してみて排水まで正常に動作するかを確認します。そのあとは次に使う人が気持ちよく使えるように、隅々まできれいに掃除をして保管します。

こうした手間をかけるからこそ買取編で見たような人件費がかかるわけで、もし動作確認も清掃もしないならそのぶんだけ買取価格を上げたり、売価を下げたりすることができます。しかしそれでは動かなかったり、すぐに壊れたりしてお客さんに迷惑がかかりますし、お店としての信頼もなくしてしまいます。

それを防ぐために、ちゃんと動作確認と清掃を行うのです。したがって店頭に並んでいる商品は、どれもちゃんと動きます

ネットで○○円で売ってたから、値引きしてくれない?

<現役店長のぶっちゃけ回答>
商品価格だけじゃなく、送料含めた総金額で比べてください。

「ネットで高く売られているから、買取価格を引き上げて欲しい」の逆バージョンで、「ネットで安く売られているから、売価を引き下げて欲しい」というのがこの質問の意図です。

例えばリサイクルショップの店頭で9,000円で売っているものが、ネットで7,000円で売っていたとします。ところがよく商品説明を読んでみると、送料が5,000円、6,000円かかるといったケースが多いのです。すると結局お客さんが支払う金額には大きな違いがなかったり、場合によってはリサイクルショップの方が安く済んだりすることもあります。リサイクルショップはネットで安く売られているからと言われても、値引きには応じられないのです。

<現役店長のぶっちゃけ回答2>
個人間の取引は間に人が入らないぶん安いですが、そのぶんリスクが高いので注意してくださいね。

また「メルカリ」などの個人間の取引が多いサービスの場合は、自分が使った家電を中古で販売していることもあります。個人の販売は仕入れの手間や従業員の給料、お店の家賃などのコストがないぶん安く販売できます。そのためどうしてもリサイクルショップでは価格の勝負ができません

しかし個人で販売しているということは、その中古の家電がちゃんと動く保証もありませんし、清掃してから配送してくれるかどうかもわかりません。個人間での取引の安さとは、そうしたリスクを飲み込んだうえでの安さなのです。

そのため個人間の取引のリスクを承知の上ならば、安い方を買う方がお得な可能性もあります。しかしリスクを最小限に抑えたいのであれば、多少高くてもリサイクルショップでの購入をおすすめします

1万円以下の安い洗濯機が入荷したら連絡くれない?

<現役店長のぶっちゃけ回答>
予約を受け付けるメリットが、お店にありません。

リサイクルショップにとって「1万円以下の安い洗濯機(あるいは冷蔵庫)」は、いわゆる目玉商品です。そのため特にお客さんにおすすめしたり、陳列する場所を工夫したりしなくても、自然に売れていきます

通常小売店が予約を受け付けるのは、予約された分の売上・利益を確保するためです。しかし目玉商品はそんなことをしなくても売上・利益になるため、わざわざ予約を受け付けるメリットがないのです。

ただしヴィンテージの楽器などの特殊な商品や、単価の高い商品の場合は別です。買い手がつきにくいため、予約しておいてもらえるとお店側にもメリットがあるからです。もしくは家電や家具を一式まとめ買いしたうえで「冷蔵庫だけ気に入るのがないから予約したい」といったケースも、お店の利益が確保できているので予約に対応することができます。

リサイクルショップもつらいよ

普段リサイクルショップの前を通ったり、たまに買い物をしたり買取を依頼したりするぐらいでは、今回解説したような裏側を知ることはないでしょう。だからこそ「これ、動くのかな?」「買い叩いてるんじゃないの?」といった疑問も生まれてしまいます。

しかしリサイクルショップの儲けの仕組みや、動作確認・清掃などの裏方の仕事を知った今なら、不要な疑問を抱くことなく、安心してリサイクルショップを利用できるのではないでしょうか。

たくさん吐き出したね、くるり。
スー、スー……。
あれ、くるり、寝てるの?う、うわあ、お酒くさい!
売れ筋商品の持ち込みがこんなに……お店の現金がなくなっちゃう……むにゃむにゃ。
それであんなに言いたい放題だったんだね。それにしてもいい夢見てるね。
コンブ、お金下ろしてきて……むにゃむにゃ。
目を開けて寝言を言うのはどうかと思うけど、今はそっとしておいてあげよう。