本に服、何かの記念品や使わなくなった日用品のストック、あるいは捨てるのが面倒で見て見ないふりをしている家具・家電……。長く生活していれば、家の中にモノが増えてきて、どう片づけてもすっきりしないという状況に陥りがちです。
しかしここで「そんなのもったいない!この収納グッズがあれば……」と新しく収納グッズを購入するのは大間違い。また収納グッズというモノを増やすだけです。この状況からぬけだすためには「捨てる」しかありません。
「でも捨てられない……」という人のために、ここでは米TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれた近藤麻理恵さん(愛称:こんまり)の断捨離メソッドのエッセンスを紹介します。
彼女の断捨離メソッドが流行したのは数年前ですが、今なお色褪せない、抜群に効果のあるメソッドなので、まだ試したことがない人はぜひ実践してみてください。
まず「どうして断捨離をしようと思ったのか」を考えよう
世の中には様々な片づけや断捨離のテクニック本がありますが、そうしたテクニックはあまり重要ではありません。最初にやるべきなのは、「どうして断捨離をしようと思ったのか」という動機とその動機がどれくらい強いのかを自分に問いかけることなのです。
そのためにまず、以下の5つの質問について1から順番に考えてみましょう。
1.断捨離することによってどんな場所で、どんな生活を送りたいのか?
1に対する答えは「もっと清潔な部屋で生活がしたい」「もっと乙女な生活が送りたい」といった漠然としたものでOKです。
2.断捨離することによって、自分にどんな変化を与えたいのか?
2に関しても「仕事から帰ったとき、毎回晴れやかな気持ちで部屋に入りたい」といったイメージでかまいません。
3.断捨離をした自分はどんな顔をして、どんな服を着て、どんな毎日をすごしているか?
1と2の答えをもとに3では、より具体的なイメージに落とし込んでいきます。断捨離をしたあとに鏡に映る自分の顔、自然と選ぶ服、街に出かけたり、家の中で趣味に打ち込む自分、部屋の匂いや耳に聞こえてくる音など、五感を使って詳しくイメージしていきます。
4.断捨離をした自分は、部屋を見てどんな気持ちになっているか?
3のイメージが具体的になるほど、4の質問にもすんなり答えられるはずです。部屋を見て「すごく楽しい気持ちになる」というのなら断捨離の準備はほとんどできています。一方で「寂しい気持ちになる」「物足りなく感じる」という場合は、まだ断捨離をするには動機がしっかり固まっていないのかもしれません。
5.今の部屋を見て、どんな気持ちになるか?
5に対する答えはどうでしょうか。「うんざりする」「嫌な気分になる」という人は、一刻も早く断捨離がしたくなっているはずです。一方で「安心する」「このままでもいいかなと思う」という人は、やはり断捨離をするにはまだ動機が弱いと言えます。
近藤さんは「片づけはマインドが9割」と言います。なぜなら「自分が幸せになるには片づけが必要だ」と思えるまで筋道を立てて理解できていなければ、断捨離の作業効率が大幅にダウンしてしまうからです。
捨てる際も「まだ使えるし」「もったいない」と妥協し、捨てるべきものを捨てられません。だから何よりもまず、「どうして断捨離をしようと思ったのか」を徹底的に考えることから始める必要があるのです。
こんまり流「捨てる」ための4つのエッセンス
近藤さんの「捨てる」メソッドには詳細なルールがあります。ここではベストセラー本『人生がときめく片づけの魔法』から、今すぐ試せる4つの「捨てる」ためのエッセンスを紹介します。
「一気に、短期に、完璧に」捨てる
近藤さんは「少しずつ片付ける」「1日1つ何かを捨てる」といった断捨離のやり方は、必ず挫折するやり方だと言います。
近藤さんがその代わりに提案するのは「一気に、短期に、完璧に」捨てるやり方です。こうすることで部屋の様子を激変させ、断捨離の効果をより強く印象付けるのです。
すると「二度と、以前ような部屋には住みたくない」という気持ちも強くなり、断捨離をしたあとの部屋を維持しようというモチベーションになるというわけです。
「少しずつ片付ける」「1日1つ何かを捨てる」といったやり方は、毎日少しずつ部屋が変わっていくので、こうしたモチベーションにはつながりません。だから「一気に、短期に、完璧に」捨てることが大切なのです。
捨てる基準は「触ったときに、ときめくか」
近藤さんがノイローゼになるほど片づけについて考えた結果、行き着いた捨てる基準が「触ったときに、ときめくか」でした。
近藤さんは全世界の依頼者のもとを巡って、片づけのコンサルティングをしていますが、どんなところに行っても「ときめくものは残す」「ときめかないものは捨てる」という基準を依頼者に叩き込んでいるそうです。
また「触ったときに」という点も非常に重要です。ときめくかどうかは目で見ただけではわかりません。一つずつ手にとって自分の心や体の反応に意識を集中させて初めて「これはときめく」「これはときめかない」ということがわかります。
全ては「床に全部並べる」から始める
手にとってときめくかどうかを判断するために始めにするのは、「床に全部並べる」という作業です。近藤さんはまず依頼者に本にしろ、服にしろ、各カテゴリーごとに全て床に並べてもらいます。そしてこの「床に全部並べる」という作業以降に出てきたモノは全て捨てることに決めます。
そうすると部屋中のあちこちを探し回りますし、収納されていたところが一箇所に集まるので、ものすごい量になります。すると「自分の家にはこんなにモノがあったのか」を実感でき、「減らさなきゃ」という危機感を持てるようになるのです。
実際にやってみるとわかりますが、これは断捨離の決意をより強くするために非常に効果的なやり方です。
「保留」は絶対NG
捨てる・捨てないの判断をしていると、必ず「判断が難しいからまた今度決めよう」「いつか使うかもしれないから今は置いておこう」と言いたくなります。また「家族にあげる」「友達にあげる」といった選択肢も何度も頭に浮かんできます。
しかしこれらは全て判断を保留しているだけ。近藤さんの断捨離メソッドにおいて、「保留」の二文字は絶対NGです。
片づけられない、捨てられないのは何かともっともそうな言い訳を作って捨てるかどうかの判断を保留しているからです。そのため判断の保留を許すと、いつまでたっても断捨離は進みません。仮に一時的にモノが減っても、また言い訳を繰り返してモノを溜め込んでしまいます。
判断を保留しそうになったときは、改めて「どうして断捨離をしようと思ったのか」を思い出し、ひとつひとつ確実に決断していきましょう。
ゴミ袋に入れるだけが「捨てる」じゃない
本や服は古本屋やリユースショップ、フリマアプリなどで売ることもできますし、ゴミ袋に入れて捨てるのも簡単です。しかし家具や家電といった大きなものは、個人が中古品として売ろうとすると配送や梱包の手間がかかりますし、捨てるにしても自治体で定められた手続きを自分でやらなくてはなりません。
例えば家具を捨てるとなると、まず自治体の窓口に電話をして捨てたいという旨を伝えます。その際、いつ回収業者が回収に向かうかを指定します。次にスーパーやコンビニなどで「粗大ごみ処理券」を有料で購入し、家具に貼り付けます。
最後に回収業者が回収に来るまでに、所定のゴミ捨て場まで家具を運んで完了です。必要な費用は粗大ごみ処理券の料金だけですが、かなりの手間がかかるのです。
とはいえ「捨てるのが面倒だから残しておこう」ではせっかく断捨離した意味がありません。そこでおすすめしたいのが「不用品回収業者」です。
確かに不用品回収業者に回収を依頼すると、自治体の回収業者を利用するよりも費用がかかります。しかし不用品回収業者に依頼をすれば、自分でゴミ捨て場まで運ばなくても玄関まで回収に来てもらえます。
また業者によっては朝早くや夜遅くでも対応してくれますし、土日に対応してくれる業者もたくさんあります。利便性を考えれば、圧倒的に不用品回収業者が優れているのです。
しかし不用品回収業者に依頼する場合は、その業者が「違法業者」ではないかに注意する必要があります。こちらの記事に違法な不用品業者を見極めるチェックポイントを10個紹介しているので、事前にチェックしたうえで依頼するようにしましょう。
また不用品回収業者は法律上、明らかに壊れていて、捨てざるを得ないような家具や家電を原則回収できません。そのような場合は、購入した家電量販店などに連絡し、回収を依頼するようにしましょう。
「ときめくもの」だけがある生活
断捨離をしてときめかないモノを全て捨てたら、「ときめくもの」だけがある生活が実現します。どこを見ても、何を触っても、全部にときめく生活… …想像するだけでワクワクしてくるのではないでしょうか。ここで紹介した、こんまり流「捨てる」ためのエッセンスを参考に、ぜひ断捨離を実行してみてください。