逮捕される業者

家のスペースを陣取るもう使わない家具や家電などの不用品。不用品回収業者は、これらを回収してくれる心強い味方です。しかし実は不用品回収業者の中には、違法業者も少なくありません。ただし「違法業者」と一口に言っても、回収を依頼する一般の利用者にはどんな業者が違法で、どんな業者が合法なのかの区別はつきにくいですよね。

そこで、ここでは違法な不用品回収業者に回収を依頼するデメリットを解説するとともに、相手が違法業者なのか、あるいはきちんと法律を守っている業者なのかを見極める10のチェックポイントを紹介します。

INDEX
  1. 違法な不用品回収業者に依頼する3つのデメリット
    1. 不法投棄による環境破壊を助長してしまう
    2. 依頼した人にも罰が課せられる場合もある
    3. 事前確認のない不明瞭な料金を請求される可能性もある
  2. その業者で大丈夫?不要品回収業者を見極めるチェックポイント
    1. 宣伝方法・宣伝文句で不要品回収業者を見極める
    2. 営業方法・手続きで不要品回収業者を見極める
    3. 料金関連で不要品回収業者を見極める
  3. 違法な不要品回収業者から身を守ろう!

違法な不用品回収業者に依頼する3つのデメリット

違法な営業をしていることが明らかになれば、もちろんその不用品回収業者には営業停止や罰金などが課せられます。しかし違法な不用品回収業者に依頼すると、依頼者側にもデメリットが発生します。以下ではそのうち主なデメリットを3つ紹介します。

不法投棄による環境破壊を助長してしまう

北海道で起こった。2014年から2017年にかけて2度にわたり、テレビやストーブ、冷蔵庫など計7.5トンもの廃棄物を村有地に埋めていたニュースをご覧になられたことがあるでしょうか。

違法な不用品回収業者の中には回収した廃棄物(もう使えなくなった家具や家電など)を、人気の少ない道路の脇や山の中に捨ててしまう業者もいます。廃棄物の中にはリサイクルすれば資源になるものも多く、家電リサイクル法に定められているエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は、特にリサイクルの価値がある家電とされています。

これらを適切に処理しないばかりか、山の中に捨ててしまえば環境が破壊されて当然です。間違って違法な不用品回収業者に依頼してしまうと、こうした不法投棄を助長し、環境破壊を助長してしまうかもしれないのです。

不法投棄による環境破壊の側面から見ても、できるだけ慎重に不用品回収業者を選ぶ必要があります。

依頼した人にも罰が課せられる場合もある

廃棄物処理法という法律によれば、一般家庭から出る廃棄物(=一般廃棄物)を収集運搬もしくは処理をする許可を得ていない業者に一般廃棄物を委託した場合、その委託した人も5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方を課せられる場合があります(第25条第6号)。

つまり廃棄物=ゴミだと知ったうえで、違法な不用品回収業者に依頼すると、依頼者自身が法的な罰則の対象になる可能性があるということです。相手が違法な不用品回収業者だと知らずに依頼してしまって、自分が罰を受けるかもしれないというのは、なんとも恐ろしい話ですよね。そのためにもきちんと業者を見極める目を持っている必要があるのです。

事前確認のない不明瞭な料金を請求される可能性もある

不明瞭な料金請求

また違法な不用品回収業者には、事前確認のない不明瞭な料金を請求する業者もいます。「無料で回収します!」と言っておいて不用品をトラックに積み込んだ後に、「回収は無料なんですが、処理は別料金をいただきます」とか、格安の料金を提示しておきながら「想定していたよりも不用品が多かったので、これだけいただきます」と事前確認のない料金を請求されるケースもあるようです。

「じゃあ持っていかなくていい。元に戻してくれ」とこちらが言えば、「荷下ろし料金が必要になりますが、よろしいですか?」と別料金を請求してくることもあります。このようなトラブルに巻き込まれないためにも、相手の不用品回収業者が違法業者なのか合法な業者なのかを見極める必要があります。

その業者で大丈夫?不要品回収業者を見極めるチェックポイント

ここからは「宣伝方法・宣伝文句」「営業方法・手続き」「料金関連」という3つの切り口から、違法な不用品回収業者を見極める合計10個のチェックポイントを紹介します。

ここで挙げたチェックポイントにひとつでも当てはまるからといって、100%違法な不用品回収業者というわけではありません。しかし10個の中にはそれひとつだけでも違法性が確定するものもありますし、いくつかのチェックポイントが重なることで違法性がほぼ確実になるものもあります。前述したようなデメリットを被らないためにも、よく確認して、自分の身を守るために役立ててください。

宣伝方法・宣伝文句で不要品回収業者を見極める

1.拡声器での巡回車は要注意

もちろん拡声器で放送をしながら巡回をしている全ての不用品回収業者が、違法な業者というわけではありません。しかし本来不用品回収というのは、ホームページや電話などから依頼を受けて回収に向かう方が圧倒的に効率的です。そうした効率的な手段を選んでいないという点で、「ホームページや電話番号を公開できるような商売をしていない」という可能性はあります。

2.「なんでも無料」

家電リサイクル法に定められている家電には、それぞれリサイクル料が定められています。そのため廃棄物=ゴミとして回収してもらう場合、少なくともリサイクル料がかかるはずです。そうしたものも含めて無料で回収するのであれば、その不用品回収業者はリサイクル料の金額だけ損をしてしまいます。そもそも「なんでも無料」は商売にならないのです。

「無料」という宣伝文句に惹かれて回収を頼むと、「回収は無料ですが……」とリサイクル料と合わせて別途料金が請求される可能性が高くなります。

3.「なんでも回収」

一般家庭から出る廃棄物(=一般廃棄物)を回収するには、本来「一般廃棄物運搬収集運搬業許可」という取得の難しい許可を持っていなければなりません。もしゴミとしてではなく、リユース品として「買い取る」という形であればこの許可は必要ありませんが、その場合は明らかにもう使えない家電や、生ゴミなどの廃棄物を回収することはできません。つまり「なんでも回収」というのはあくまで「(廃棄物以外なら)なんでも回収」という意味なのです。

もし一般廃棄物運搬収集運搬業許可を持っていない業者が明らかな廃棄物(生ゴミなど)まで回収できると宣伝していたら要注意です。

営業方法・手続きで不要品回収業者を見極める

4.許可を持っていない

古物商許可証

一般廃棄物の回収には「一般廃棄物運搬収集運搬業許可」が、リユース品を買い取るためには古物営業法に基づく「古物商許可」が必要です。この両方を持たずに不用品回収をしている業者は、違法業者である可能性があります。

なお、一般廃棄物運搬収集業許可は地方を除いて取得が非常に難しく、大半の業者が持っていません。一方古物商許可は取得が比較的簡単ですが、廃棄物(=ゴミ)ではなく有価物(=まだ使えるもの)であれば「買い取る」という形で不用品を引き受けることができます。

5.押し売りならぬ「押し買い」業者は論外

いきなり家に押しかけてきて、家にある物を強引に買い取ってきたり、依頼者が希望していない品まで買い取ろうとするのは「押し買い」という悪質商法です。これは特定商取引法に違反する行為で、業務改善の指示や業務停止命令などの行政処分や、罰則の対象となります。もちろんその行為をはたらいている業者は、違法な不用品回収業者です。

6.訪問時に事業者名を名乗らない

特定商取引法は第58条の5で、依頼者の自宅などの場所で不用品などをリユース品として買い取るような場合(訪問購入)、以下の3点を依頼者に明確にすることを業者に義務付けています。

  • ・事業者の氏名(名称)
  • ・契約の締結について勧誘をする目的であること
  • ・購入しようとする物品の種類

つまり訪問時に事業者名を名乗らないのは、その時点で特定商取引法違反の違法業者なのです。同様に「不用品をリユース品として買い取る目的で訪問したこと」と「買い取ろうとしているのがどんなものなのか」ということを言わない業者にも注意が必要です。単に忘れているだけならまだしも、場合によっては押し買いに遭う可能性もあります。

 

料金関連で不要品回収業者を見極める

7.「ゴミの処理費用」を請求する

ごみ収集をするパッカー車

前述のように一般廃棄物収集運搬業許可を持っていない限り、一般家庭から出るゴミの回収はできません。したがって一般廃棄物収集運搬業許可を持っていない限り、一般家庭から不用品を回収して「ゴミの処理費用」を徴収することはできません。もし古物商許可しか持っていない業者や、何の許可も持っていない業者が「ゴミの処理費用」を請求してきたら要注意です。

ただし、古物商許可を持っている業者に回収を依頼した場合は別の考え方も必要です。というのも買取のはずなのに依頼した側が料金を請求されることがありますが、これは「ゴミの処理費用」としてではなく、スタッフの作業代金や出張代金、運搬料金などのコストを買取金額から差し引いた場合の代金だからです。

例えばコスト部分で1万円かかったとして、それに対して買取金額が5,000円だった場合、依頼者は差額の5,000円を業者に支払うことになります。このような取引は法的に問題ないと考えられているので、特別に警戒する必要はありません。

8.家電リサイクル法対象品も回収してくれる

家電リサイクル法対象品とはエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機を指します。これらは本来廃棄物かどうかにかかわらず、一般廃棄物の収集運搬許可がなければ処理はもちろん、収集運搬することもできません。

また、これらの家電を処分するには、リサイクル費用として国が定めている「リサイクル料」や、移動させるための「運搬料」が必要です。しかし一般廃棄物の収集運搬許可を持っていない業者は処理・収集運搬ができないのですから、こうした料金を請求することもできません。

ただしこのチェックポイントにも例外があります。
というのも大型量販店などの「小売店」から依頼があった業者なら、一般廃棄物の収集運搬許可がなくても、比較的簡単に取得できる「産業廃棄物収集運搬業許可」を取得していれば家電リサイクル法対象品を収集運搬できるというルールがあります。この「小売店」にはリサイクルショップも含まれます。
すなわちリサイクルショップ自体の回収や、リサイクルショップと提携している不用品回収業者による回収であれば、法律の範囲内で対応できるというわけです。

もし相手の不用品回収業者が家電リサイクル法対象品も回収してくれるようなら、提携先のリサイクルショップや大型量販店があるのかを聞いてみるといいでしょう。

9.見積や料金設定が曖昧

不用品回収業者が違法か合法かというのは、「何の料金を受け取っているか」に大きく関係します。例えば古物商許可だけを持っている業者が「ゴミの処理費用」として料金を受け取れば違法ですが、「リユース品の買取手数料」として料金を受け取れば違法にはなりません。そのため不用品回収業者が身の潔白を証明するためには、きちんと見積や料金設定を提示する必要があるのです。

にもかかわらず見積や料金設定が大雑把だったり、どこにどんなお金がかかるのかを明確に提示しないということは、違法業者の可能性が高くなります。

10.荷物を積む直前・直後になって料金を提示する

不用品をとりあえず家からトラックの近くに運び出したタイミングや、完全に積み込んだあとのタイミングで料金を提示するというのは、違法な不用品回収業者の常とう手段です。

そこまで移動すると「料金に納得がいかないから戻してくれ」と言いづらくなりますし、「元に戻すには料金が必要。それが嫌ならお客様自身でお願いします」と言われれば、根負けして当初の提示料金を支払ってしまうでしょう。

ただし「荷物を積む直前・直後になって料金を提示する」=「100%違法業者」というわけではありません。「作業開始前に最終的な料金をちゃんと聞いて承諾する」「「作業中に回収物を追加する場合は、いくら高くなるかきちんと聞く」など、自分から尋ねる姿勢も大切です。

違法な不要品回収業者から身を守ろう!

近年違法な不用品回収業者による被害が拡大しており、まだまだ完全に取り締まれているとは到底言えない状況です。違法な不用品回収業者から身を守るのは、自分自身しかいません。ここで挙げた10個のチェックポイントを参考に、不用品回収依頼の際は細心の注意を払いましょう。