ついこのあいだわかったことなんだけど、僕の親戚にゴミ屋敷に住んでいる人がいるんだ。
それは大変だね……。
僕のお母さんとかも様子を見に行ってるんだけど、いくら片付けても、次行くとまた増えてるみたい。
なるほどね。ゴミ屋敷問題は色々と難しいからなあ。
どうしたらいいんだろ?
じゃあ今日は、身内のゴミ屋敷への対処方法について、考えてみようか。
うん!
もう我慢できない!近隣のゴミ屋敷をどうにかしたい人のための正しい対応方法とは?では近隣=他人のゴミ屋敷問題への対応方法について解説しました。他人の問題に関しては、基本的に行政に委ねるしかありません。
しかしゴミ屋敷の住人が家族や親戚といった身内になると、もう少し踏み込んだ解決策を考えることができます。そこで今回は、身内が自宅をゴミ屋敷にしてしまっている場合に、どんなことができるのかを紹介します。
ゴミ屋敷の「ゴミ」はプロに解決してもらう
自分たちだけで解決するのは難しい
ゴミ屋敷は放置していると害虫が湧いたり、ネズミなどの感染症の原因になる動物が繁殖したり、ゴミの山が崩れてきて住人が怪我をすることもあれば、家の前にまでゴミがはみ出して近隣住民に迷惑をかけることもあります。
こうした状況に直面したときに真っ先に考えるのは「ゴミをなんとかしたい!」でしょう。しかし家族や親戚だけの手でなんとかしようとするのは至難の業です。
なぜならゴミの量が多すぎるからです。ゴミ袋が10個や20個程度のゴミならともかく、ゴミ屋敷には得てしてゴミ袋に入らないような大きなゴミや、家電リサイクル法などの法律にしたがって処分しなければならないゴミも含まれます。
レンタルトラックなどを使ってゴミ処理場に直接持ち込むにしても、これらをいちいち自分たちで分別して運搬するのには途方もない時間と労力がかかります。ゴミ屋敷の規模にもよりますが、1日や2日では到底終わらないでしょう。
そのためゴミ屋敷のゴミの処理には、プロの力を借りるのが賢い選択です。
ゴミ屋敷清掃業者への依頼
コストは高くなってしまいますが、ゴミ屋敷内のゴミの処分、不用品の買取などにワンストップで対応してくれるのはゴミ屋敷清掃業者です。
ただゴミ屋敷清掃業者を看板に掲げている業者のなかには、常識はずれの高額な料金を請求したり、回収したゴミや不用品を山などに不法投棄したりする悪徳業者もいます。
このような業者につかまらないためのチェックポイントは以下の3点です。
許可を持っているかどうか | ・不用品の買取をするには「古物商許可」が必要。 ・ゴミの回収をするためには「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要。 ・許可を持っていない場合でも、持っている事業者と提携していればOK。 |
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見積もりや料金設定がわかりやすいかどうか | ・ここが曖昧な場合、あとからいくらでも上乗せして請求できてしまうため、注意が必要。 ・「全部やってみないと料金がわからない」は法外な料金を請求されるおそれがあるのでNG。 |
電話などの対応が気持ちいいかどうか | ・悪徳業者の多くは接客に気を配っていないため、電話対応や実際に会ったときの対応が悪いことが多い。 |
これらをチェックしてもまだ不安が残る場合は、2019年に設立された「ゴミ屋敷清掃士認定協会」からゴミ屋敷清掃士の認定を受けている業者を選ぶのも一つの手です。
一般廃棄物収集運搬業許可取得業者に収集運搬だけを依頼
ゴミ屋敷清掃業者にゴミの分別や処分、不用品の買取といったすべてを頼んでしまうと、どうしても料金が高くなってしまいます。
料金が大きく予算からはみだしてしまう場合は、一般廃棄物収集運搬業許可取得業者に収集運搬だけを依頼するというのも選択肢の一つです。
つまりトラックにゴミを積み込むまでを自分たちで行い、そこからゴミ処理場に運ぶ作業だけを業者に依頼するのです。
どこまでを自分たちでやって、どこからを業者に依頼するのかによって、必要な手間も時間も料金も変わります。そのなかで自分たちの予算に収まるラインを業者と相談しながら決めていくわけです。
家族や親戚に手伝う時間があったり、人手が確保できたりする場合は、この方法を検討してもいいでしょう。
「片付けられないだけ」とは言わないで
ゴミ屋敷問題の根本原因とは?
ゴミ屋敷問題はゴミが片付いたら終わりではありません。なぜなら自宅がゴミ屋敷になってしまう原因は「片付けられないだけ」ではないからです。この問題にはもっと複雑で深い原因があるのです。
セルフネグレクト
その原因の一つがセルフネグレクトです。セルフネグレクト とは「健康、生命および社会生活の維持に必要な、個人衛生、住環境の衛生もしくは整備又は健康行動を放任・放棄していること」(引用:自治体による「ごみ屋敷」対策ー福祉と法務からのアプローチー)です。
セルフネグレクトになる原因としては、病気になって体が思うように動かせなくなったり、入院や人間関係のトラブルなどで地域の人たちや家族・親戚とのつながりが途絶えてしまったりといったことが挙げられます。
ためこみ症
ためこみ症が原因になっているケースもあります。ためこみ症とは2013年にアメリカの学会でもはっきりとに病気と認められた症状で、「モノの実際の価値とは無関係に、持ち物を捨てたり手放したりすることが、持続的にできなくなる」というものです。
こうなってくるともはや本人の意思だけでゴミ屋敷問題を解決することはできません。ためこみ症を患っている人に「家を片付けろ」と言うのは、骨折をしている人に「全力で走れ」と言っているのと同じことです。
心の問題は心のプロに
セルフネグレクトにせよ、ためこみ症にせよ、ゴミ屋敷問題が深刻化する根本には、「自分なんてもうどうでもいいんだ」という病んだ心があります。
家族や親戚が心の問題とじっくり向き合えればいいのですが、なかなか難しいのが実際です。感情的になったり、身内のほうがストレスを感じて病んでしまったりするおそれもあります。
こうしたリスクを抑えながら、問題を解決していくには、やはり心のプロに頼るのが賢明でしょう。
心療内科
心療内科は基本的に「心の病気に効く薬を出してくれるところ」です。病気の名前を教えてくれたり、症状の特徴を教えてくれたりするのは心療内科なので、まずはいったん本人を連れていくのもいいでしょう。
もし心療内科で対応できるような症状であれば、気分の落ち込みなどを抑えてくれる薬を処方してくれるはずです。
カウンセリング
心の病気は薬だけでは治らない場合も少なくありません。自分がどうしてゴミを片付けられないのか、大元の原因はどこにあるのか……そういった自分の内面を一緒に掘り下げてくれる相手が必要なケースもあるでしょう。
カウンセリングは心に病を抱えた人の内面を、対話の中で探っていき、自分の力で立ち直るためのきっかけを与えてくれる場です。薬では治らなかった病気が、カウンセリングに何回か通った途端に快方に向かうことも少なくありません。
ただカウンセリングには相性があり、相談者本人とカウンセラーが合わないとむしろ症状が悪化するリスクもあります。そのため付き添うなどして本人のリアクションを見つつ、相性のいいカウンセラーを探すようにしましょう。
まとめ
家族や親戚の場合は、距離が近いぶん、いろんな対処方法があるんだね!
相手の心に寄り添ってあげられるのは身内のほうが多いだろうしね。
早速お母さんたちに相談してみるよ。
うん、そうだね。
家族や親戚など身内の場合は大きなトラブルにもなりにくいため、自分たちの責任で清掃業者や収集運搬業者を呼ぶこともできます。ゴミの問題に関しては、お金で解決できるのです。
ただしそれだけでは、ゴミ屋敷問題は解決しません。本人と一緒にいたり、話したりしながら根本原因を探り、メンタルへのケアをしていくことが大切です。
とはいえ自分たちだけで解決しようとする必要はありません。心療内科やカウンセリングといったプロの力を借ればOK です。くれぐれも抱え込みすぎないよう、ゆっくりじっくり解決していきましょう。