コンブ、デジタル遺品って知ってる?


デジタルの遺品?意味はわかるけど、具体的にどんなものがあるかって聞かれたらわからないなあ……。


そうよね。私も初めはそうだったんだけど、調べてみると私たちはもちろん、意外と60代くらいの親世代にもデジタル遺品ってあるのよ。


え、そうなの?でもスマホもPCも使ってるから、ありえない話ではないか。


そうそう。だから今回は、このデジタル遺品についてコンブと一緒に勉強しておこうって思うの。


それは渡りに船だ!よろしく頼むよ!

近年少しずつ話題になり始めたデジタル遺品ですが、認知度はまだまだ低いままです。しかしスマートフォンの普及によって、インターネットサービスの利用者は年々増え続けています。そのため今後高齢者層のインターネット利用者もますます増えていくと考えられます。そうなると遺品としてのデジタル情報も増加し、重要性も確実に高まっていくでしょう。

そこでここでは具体的にどのようなものがデジタル遺品になるのか、それらがどのようなトラブルを引き起こすのかを解説するとともに、安全かつスムーズにトラブルを防止する方法を考えます。

INDEX
  1. デジタル遺品のトラブルが続出
    1. デジタル遺品とは?
    2. デジタル遺品が引き起こすトラブル
  2. デジタル遺品は「生前整理」がベスト
    1. 死後の整理にはリスクとコストがつきまとう
    2. 「わかっている本人」が整理しておけばスムーズ
  3. プロのサービスを利用するのもアリ
    1. デジタル遺品サービスを利用するメリット
    2. デジタル遺品サービスを利用するデメリット
  4. まとめ

デジタル遺品のトラブルが続出

デジタル遺品とは?

デバイスを操作するお年寄り

デジタル遺品とは、パソコンやスマートフォンなどに残された写真や動画、故人のブログやSNSに遺された情報やそのアカウント、仮想通貨、ネットバンクの口座やそこに遺された資産、課金サービスのアカウント情報など、電子上・インターネット上の遺品を指します。

実物の写真や映像、日記などに見られたくないものがあるのと同様、デジタル遺品としての写真などにも故人が見られたくないものもあります。また家族に黙ってお金を貯めておいたり、運用していたりした資産もあるかもしれません。

もちろんそれを生前に処分していたり、お金の存在を遺族に伝えておいたりすれば、何の問題もありません。しかし死は得てして突然訪れるもの。事故や病気などで突然亡くなってしまうと、見られたくない情報を消去することも、大切にとっておいた資産の存在を伝えることもできません。そのためデジタル遺品も、実物の遺品と同じように整理することが必要なのです。

デジタル遺品が引き起こすトラブル

ではデジタル遺品を整理しないまま、持ち主が亡くなってしまった場合、どのようなトラブルが起きるのでしょうか。

スマホと南京錠を持った女性

例えばスマートフォンのロックが解除できないと、電話帳やチャットアプリなどを見ることができず、葬儀などの際に連絡したい相手の連絡先がわからないままになってしまいます。逆にロックをかけておらずに、故人が見られたくなかった、もしくは遺族が見たくなかった写真や動画などが出てくる可能性もあります。

あるいはネット証券を利用して株や投資信託などの金融商品を運用していたり、ネット銀行に預貯金を蓄えていたりすると、それが相続時に見落とされてしまい、後日相続手続きのやり直しが生じる場合もあります。実際税務署が調査に入るまで、ネット銀行の存在さえ誰も把握していなかったというケースも少なくありません。

あるいは映画や音楽、ビジネスツールなどの有料サービスを契約していたことを遺族が把握できず、知らない間に支払いが発生していたというケースや、パソコンなどを下取り・買取に出した際に内部のデータ削除が不十分で、情報が流出してしまうというケースも考えられます。こうした事態を回避するためにはデジタル遺品への万全な対策が必要である、というわけです。

自分のデジタル情報が遺品として家族に見られると思うと、確かに見られたくないものもあるし、逆にちゃんと伝えておかなきゃいけないこともあるね……!


自分はもういないんだから、自分が見られたくないものはどちらでもいいけど、伝えておかなきゃいけないことはしっかり伝えておきたいね。


くるりは意外とドライだなあ。


そう?まあ、私は独り身だから、迷惑かけないようにしないとね……独り身だから……。


(やばっ、地雷踏んじゃった……)

デジタル遺品は「生前整理」がベスト

死後の整理にはリスクとコストがつきまとう

実物の遺品整理と同じように、デジタル遺品を遺族が死後に整理することも不可能ではありません。しかし家族や親しい間柄にある関係とはいえ他人は他人。何がどこにあるのか、何をどう処理するべきかはなかなかわかりません。

特にネット銀行やネット証券の場合、通帳や印鑑すら残っていない可能性もあるため、存在に気づくことさえできないリスクもあります。これを突き止めようとすると専門的な知識や技術が必要になるため、最後まで気付かれずじまいになるという最悪の場合も十分起こり得ます。

ハッキング技術などを持つデジタル遺品整理業者もいないわけではありませんが、まだデジタル遺品そのものの認知度が高いわけではないため、対応してくれる業者の数も多くはありません。またそうしたプロに依頼する場合は、相応のコストも必要になります。

「わかっている本人」が整理しておけばスムーズ

指でまるを作る中年女性

したがって最も確実なデジタル遺品への対応は、本人がそれぞれに優先順位をつけて整理しておくという方法なのです。しかし自分のデジタル遺品は自分の意思で整理できるとしても、まだ健在の親族に対してデジタル遺品の整理をお願いするのは関係性によっては難しいかもしれません。

その場合はそれとなくデジタル遺品の話題を出しておくに留めたり、デジタル遺品になりそうなものがないかの探りを入れておいたりして、少しでもトラブルが回避できるように行動しておきましょう。

確かに……うちの父さんなんて、デジタル遺品の整理の話をするだけで怒鳴ってきそうだ。


コンブのお父さん、怒るとめちゃくちゃ怖いもんね……。


くるりの家はどうなの?


うちは多分すんなり受け入れてくれると思うよ。私一人っ子だから、何かあったら私に迷惑かかるってこともわかってくれてるし。


そういう関係を、あらかじめ作っておくのも大事なんだろうなあ。


確かにそうね。結局は人と人の問題だからね。

プロのサービスを利用するのもアリ

デジタル遺品サービスを利用するメリット

本人が生前に自分のデジタル遺品を整理しようにも、自分が利用しているサービスなどでどういったものがデジタル遺品になるのかがわからないという人も少なくないでしょう。またそれがわかっても、具体的にどう整理をすればいいいかわからないという人もいるのではないでしょうか。

そのような場合には、プロのデジタル遺品整理サービスを利用するのも有効な選択肢です。デジタル遺品整理サービスには例えば以下のようなサービスがあります。

・生前に故人自身が見たくないデータを指定し、死後にパソコンやスマートフォンなどを物理的に破壊するサービス。
・故人が任意で設定した期間を超えてパソコンにログインがない場合、サービス提供者のパスワードロックが自動的にかかり、第三者に見られないようにするサービス。
・エンディングノートアプリの提供

プロのサービスを利用するメリットは、確実性が高いこと、そして自分一人では技術的に難しいことも可能になるという点にあります。また自分ではどんな情報を整理すればいいかわからないという人でも、エンディングノートアプリを利用すれば、何をすればいいかはアプリがある程度指示を出してくれるというメリットもあります。

デジタル遺品サービスを利用するデメリット

ただし同時にプロのサービスを利用するデメリットもあります。それは第一にコストがかかる点、第二にまだ十分に市場が育っていないため、サービスを提供する事業者の選択肢が少ないという点です。

天秤とガベル

これには法律がデジタル遺品に対応しきれていないことも背景となっています。例えば死後のデータの物理的な破壊を生前に契約するというサービスは、個人情報保護の観点や、破壊後にゴミとなったパソコン(廃棄物)をどう取り扱うべきかといった観点など、様々な点で法律の整備が必要となります。

また遺族がいる場合は別として、孤独死をした故人と契約を交わしていた場合は、部屋の鍵を壊して部屋の中に入る必要もありますが、その行為を法律上どう捉えるべきかという議論は今後に委ねられています。

デジタル遺品の生前整理サービスにこうした問題が残っていることを考えると、利用する際は利用者側が事業者を慎重に選ぶ必要があるでしょう。

まとめ

安易にプロに任せればいいってわけでもないんだね。


そうみたいね……。現時点では個人個人が自分や遺族を守るために準備をしておくしかないって感じだよね。


難しいかもしれないけど、やっておかなきゃいけないことは確かだね。


大切な人たちに迷惑をかけないためにも、今からでも始めておこうかな。


その前にくるりは恋人でも……はっ!


なんですって〜!?


ひえ〜、ごめんなさ〜い!

デジタル遺品は現代ならではの遺品であり、現時点では認知度は低いものの、今後確実に重要度が高まっていくことが予想されます。

自分のスマートフォンやパソコンにはどんなデータが入っているのか、それは自分がいなくなった後どうするべきなのか、あるいはどうして欲しいのか……。人生の節目節目に整理をしておいて、いざという時に大切な人たちに迷惑がかからないようにしておきたいものです。