炊飯器はスイッチ一つでご飯が炊ける便利な調理器具ですが、近年は銘柄別に炊けたり、玄米や雑穀米を美味しく炊く機能がついていたりと、機能も多彩になっています。生活習慣や家族構成などの変化をきっかけに、今使っている炊飯器を買い換えようという人も多いのではないでしょうか。その際いま使っている炊飯器を買取に出して、新しい炊飯器の代金の足しにするというのは賢い方法でしょう。
しかし買取業者側も商売ですから、どんな炊飯器でも買い取ってくれるというわけではありません。また買取価格も様々な要因で変動するため、売るタイミングによって価格が違ったり、売る業者によって価格が違ったりもします。
ここでは一般的なリサイクルショップの炊飯器の買取基準と、2018年12月現在の買取相場を紹介するとともに、炊飯器をできるだけ高く売るための方法についても解説します。
売れる炊飯器・売れない炊飯器の違い
炊飯器の買取基準
チェックポイント | 買取OK | 買取不可 |
---|---|---|
機能が正常に使えるか? | 使える | 使えない |
大きな傷やヘコみ、損傷などはないか? | ない | ある |
内釜の塗装がハゲていないか? | ハゲていない | ハゲている |
製造年数は7年以内か?* | 7年以内 | 7年以上 |
※業者によっては7年以上のものでも買い取る場合がある。
上表はリサイクルショップや不用品回収業者のような買取業者が、買い取れる炊飯器か買い取れない炊飯器かを判断する際のチェックポイントをまとめたものです。
最も優先順位が高いチェックポイントは、炊飯器に備わっている機能が正しく使えるかどうかです。具体的にはお米が炊けるかどうかは当然として、各種ボタンが正しく反応するか、音が出る機種であればちゃんと音がでているのかなどです。こうした機能が使えない炊飯器は壊れているものとして、買取不可と判断されてしまいます。
この次に優先度が高いのは、外装などの傷やヘコみ、汚れなどです。これらが目立つ炊飯器は、店頭に並べても買い手がつきにくいため、買取不可と判断される可能性が高くなります。
炊飯器に特有のチェックポイントとしては、内釜の状態が挙げられます。内釜は炊飯器の心臓部と言っていいほど重要な部分で、内釜の塗装がハゲていると炊き上がりの質も下がってしまいますし、お米がこびりついてしまうこともあり得ます。そのため内釜の状態が悪い場合は、買取不可と判断されるケースがあるのです。
ここまでの3つのチェックポイントをクリアしていても、最後の製造年の項目でNGが出てしまうと、その時点で買取不可と判断する業者も少なくありません。
確かに炊飯器は使用方法や使用頻度によって10年以上も使える場合があります。しかし本来の寿命の目安は6年となっているため、製造年が7年以上になると故障のリスクが大幅に高くなってしまうのです。壊れるリスクが高いとわかっている炊飯器を買い取るメリットは業者側にはありませんから、買取不可と判断されるわけです。
炊飯器の処分は粗大ゴミ回収がお得
上表の4つのチェックポイントによって買取不可と判断された場合で、かつもう使えない(使わない)場合は、その炊飯器を適切な方法で処分する必要があります。炊飯器の処分方法としておすすめなのは、自治体の粗大ゴミ回収に出す方法です。
1.住んでいる自治体の窓口に電話で問い合わせをする。
2.電話で回収料金と回収場所・日時を教えてもらう。
3.回収日時までにコンビニやスーパーなどで指示された回収料金に相当する「粗大ゴミ処理券」を購入。
4.粗大ゴミ処理券を炊飯器に貼り付け、回収日時までに回収場所に出す。
このように、確かに手間はかかります。しかし炊飯器は数百円で処分できるうえに、自分の手で運んでも大して重くありません。そのため他の大きな粗大ゴミに比べると、自分で回収に出す方が圧倒的にコストパフォーマンスに優れているのです。
炊飯器における「IH式」と「マイコン式」の違い
家庭用の炊飯器には大きくIH式とマイコン式という2種類があります。IH式はコイルを内釜の底と側面に内蔵しており、炊きむらを少なくできるというメリットがあります。各メーカーが高級機種に採用している圧力IH式になると、圧力鍋のように炊飯中に圧力をかけて高温で炊くので、よりお米の旨みを引き出すことができるようになります。
一方マイコン式は1979年に当時の松下電器産業が「SR-6180FM」という製品で初めて採用した加熱方式で、以前は炊飯器の主流となっていました。現在も各メーカーが安価な機種に採用しており、コストを重視するユーザーに人気があります。
このうちマイコン式は新品価格も非常にお手頃なため、中古としての需要がほとんどありません。そのため、「マイコン式の時点で買取不可」とまでは言わずとも、かなり状態の良いものでない限りは買取価格がつかないケースが多くなっています。
したがって、炊飯器を売りに出す際は自分が使っている炊飯器が、どちらの加熱方式なのかをあらかじめチェックしておきましょう。
炊飯器の買取相場はどれくらい?
炊飯器の買取相場
<国内主要メーカー>
サイズ | 製造年 | ||
---|---|---|---|
1〜3年 | 3〜5年 | 5〜7年 | |
〜3.5合未満 | 1,000〜28,000円 | 0〜14,000円 | 0〜4,000円 |
3.5〜5.5合未満 | 1,500〜36,000円 | 0〜18,000円 | 0〜5,000円 |
5.5〜8合未満 | 2,000〜40,000円 | 0〜20,000円 | 0〜6,000円 |
8〜10合未満 | 3,000〜45,000円 | 0〜23,000円 | 0〜7,000円 |
<その他のメーカー>
サイズ | 製造年 | ||
---|---|---|---|
1〜3年 | 3〜5年 | 5〜7年 | |
〜3.5合未満 | 1,000〜15,000円 | 0〜8,000円 | 0〜2,000円 |
3.5〜5.5合未満 | 1,500〜18,000円 | 0〜9,000円 | 0〜2,500円 |
5.5〜8合未満 | 2,000〜20,000円 | 0〜10,000円 | 0〜3,000円 |
8〜10合未満 | 3,000〜25,000円 | 0〜12,000円 | 0〜3,500円 |
「想像以上に安い」「思ったより高い」など、上表の買取相場に抱く印象は人それぞれだと思いますが、注意して欲しいのはこの数字があくまで汚れなどが少ない中古美品の場合の価格だということです。そのため実際の買取価格は、以下のような要因によって高くもなれば、安くもなります。
・その時々の人気
・型番
・状態(小傷や汚れの有無、内釜の状態)
・付属品の有無
・使用年数
・買取方法(店頭買取・出張買取・宅配買取)
・出張買取時の距離や搬出条件(エレベーターの有無など)
これらの要因によってはどんどん減額されて、最終的に無料や有料での引き取りになる炊飯器もあります。ただし、比較的値崩れしにくい炊飯器もあります。それは中古市場で人気のある商品です。以下にそれらのメーカー、商品名、型番の例を表にしておくので、参考にしてください。
メーカー | 商品名 | 型番例 |
---|---|---|
象印 | 極め炊き | NW-KA10、NW-KA18、NP-QT06、NW-JT10、NP-BH10など |
パナソニック | Wおどり炊き | SR-VSX108、SR-VSX188、SR-SPA108、SR-PW108、SR-PW188など |
東芝 | かまど炊き | RC-10ZWM、RC-10VXM、RC-18VXM、RC-10VRM、RC-18VRMなど |
三菱電機 | 本炭釜、炭炊釜 | NJ-AW109、NJ-VW109、NJ-SW069、NJ-VX109、NJ-VV109など |
買取査定時の商品・メーカーごとの特徴
同じ人気商品でも、商品によって少しずつ相場に特徴があります。炊飯器の場合は、特に内釜の保証期間がポイントになります。以下では各商品の内釜保証期間について紹介するとともに、それ以外の特徴が買取価格に及ぼす影響についても解説します。
極め炊き
象印の極め炊きシリーズは、機種によって変動はあるものの原則3年もしくは5年の内釜保証がついています。このメーカー保証が残っているうちに売りに出せば、保証が切れてから売りに出すよりも確実に高い買取価格がつくでしょう。
また中古炊飯器においては汚れやキズの他に、ニオイも大きな査定ポイントになりますが、極め炊きシリーズにはクリーニング機能というものが付いている機種があり、これを使えば炊き込みご飯などの炊いたあとの内釜のニオイを抑えることができます。できるだけ良い状態を維持できるという点で、他の機種に比べて値崩れしにくい要因になるでしょう。
Wおどり炊き
パナソニックの最上位ラインであるWおどり炊きの内釜保証期間は3年間。極め炊きの上位機種の5年には見劣りするものの、この期間内に買い換えることができれば、比較的高い買取価格で売ることができます。
また同シリーズにはお手入れ機能というものがついており、これを利用するとニオイやふた加熱板・蒸気口の落ちにくい汚れが落ちやすくなります。これも極め炊きのクリーニング機能同様、良い状態を長く維持するために役立ってくれるでしょう。
かまど炊き
東芝のかまど炊きシリーズには真空圧力IH式の機種と真空IH式の機種がありますが、いずれも3年もしくは5年の内釜保証がついています。この期間内に買い換えができれば、値崩れも比較的起きにくいはずです。
また同シリーズは蒸気口を取り外して水洗いできる仕様になっています。この仕様は使用時の衛生面はもちろん、売却時の状態維持にも役立ってくれます。
本炭釜・炭炊釜
三菱電機の本炭釜・炭炊釜シリーズのうち、本炭釜は名前の通り本物の炭を切り出して作られています。そのため他の機種の内釜に比べて非常に脆く、実際の購入者にも「買ってすぐ割ってしまった」という人が少なくありません。
しかも本炭釜には保証がついておらず、もし割ってしまうと有料で内釜を購入する必要があります。そのため本炭釜シリーズの内釜に傷や欠けができてしまうと、買取査定額の大幅ダウンは避けられないでしょう。
一方炭炊釜シリーズは金属釜の周りを炭でコーティングした内釜を採用しているため、比較的耐久性は高いと考えられます。また内釜の保証期間も3年間と他の同等になっているので、この期間内に売却できれば比較的高い買取価格がつくはずです。
炊飯器を少しでも高く売る5つの方法
炊飯器の買取価格を決める要素
ここまで見てきたように、炊飯器の買取相場の幅は非常に広くなっています。なぜこのような幅が生まれるのかというと、前述したように中古炊飯器の査定には以下のような要素が絡んでいるからです。
・その時々の人気
・型番
・状態(小傷や汚れの有無、内釜の状態)
・付属品の有無
・使用年数
・買取方法(店頭買取・出張買取・宅配買取)
・出張買取時の距離や搬出条件(エレベーターの有無など)
したがって、中古炊飯器の買取価格は実際に査定してみないとわからないというのが実情になります。とはいえ買取価格がはっきりとはわからなくても、手元の炊飯器にできるだけ高値がつくように工夫することはできます。以下では上記の7つの要素をふまえたうえで、炊飯器を少しでも高く売る方法を5つ紹介します。
なお使わない炊飯器をどこでどうやって売ればいいのかについては、【まとめ】リサイクルショップって何が売れるの?【随時更新】で詳しく説明しているので、こちらを参照してください。
メンテナンスだけで買取価格が変わることも
最も重要なのは日常的なメンテナンスですが、査定に出す前にしっかりメンテナンスするだけでも業者側の印象は変わります。メンテナンスに使うのは消毒用アルコールといらない布やキッチンペーパーだけ。これらを用意したら、以下の手順でメンテナンスを進めていきましょう。
1.炊飯器の本体外側を消毒用アルコールを染み込ませた布などで拭く。さっと拭くのではなく、ゆっくり拭くと汚れが落ちやすい。
2.内釜や内蓋など、本体内側を拭いていく。取り外せる部品は取り外し、一つずつメンテナンスする。
3.ふた周辺などの拭き取りにくい部分は、つまようじや綿棒を使って汚れをかきだし、消毒用アルコールを染み込ませた布などで拭く。
4.外釜は壊れやすいため、乾拭きだけしておく。
5.これでも汚れやニオイが取れない場合は、水だけを入れて炊飯し、蒸気で汚れを浮かせてからメンテナンスする。
付属品はしっかり揃える
説明書や保証書、しゃもじや計量カップなどの付属品が揃っているかどうかによっても、ある程度買取価格に影響が出ます。とりわけ保証書は使用期間の証明にもなるため、ぜひとも探し出しておきましょう。
またもし売りに出そうと思っている炊飯器がメーカーの保証期間内で、内釜に塗装の剥がれなどがある場合は、必ず交換してもらっておきましょう。有料の場合は別として、無料で交換してもらえれば、買取価格がアップする可能性が高いからです。
店頭に直接持ち込む
炊飯器の買取方法は主に2つあります。まず店頭に直接持ち込む店頭買取、次に業者に自宅まで来てもらって売る出張買取です。このほか業者によっては宅急便などで送って査定してもらう宅配買取に対応しているところもあります。
このうち出張買取は交通費や出張スタッフの人件費、宅急便は配送料がかかるため、そのぶんが査定金額から差し引かれる場合があります。しかし店頭に直接持ち込む場合は、業者側のリスクやコストが低くなるため、比較的買取価格が高くなりやすいのです。
炊飯器であれば多少は重いものの、店頭まで持ち込むのはさほど大変ではありません。ただしそれでも、せっかく持って行ったのに「買取できません」と言われてしまえばがっかりしてしまうはず。そのため店頭買取を依頼する際は事前に「こんな炊飯器を持って行こうと思うのですが、買い取ってもらえますか」などと業者側に確認をとっておきましょう。
使わなくなったらできるだけ早く売る
先ほど紹介した買取相場を見てもわかるように、炊飯器の買取価格は製造年から時間が経つほど安くなってしまいます。そのため「置いておいても邪魔にならないし……」「また今度余裕のある時に……」などと、使わない炊飯器を置きっぱなしにしていると、どんどん炊飯器の価値が下がっていってしまいます。
したがって使わないことがわかっているのなら、炊飯器はできるだけ早く売るのが鉄則です。それがその炊飯器にとって最も高く売れるタイミングなのです。
いろいろな業者で相見積もりをとる
各メーカーの上位機種などになれば、中古市場でも比較的高い値段で販売されます。それは市場全体で見れば、こうした機種には人気があるからです。しかし業者によっては「自分のお店では高価な炊飯器は売れない」というところもあります。
売れない炊飯器に高い買取価格をつけるわけにはいきませんから、このような業者は上位機種にも比較的低い買取価格をつける傾向にあります。逆に言えば高い中古炊飯器でも売れる業者であれば、適正価格以上の金額で買い取る場合もあります。
このように、炊飯器の買取価格は業者によって大きく変わります。したがって、自分の炊飯器を少しでも高く売るためには、いろいろな業者で相見積もりをとって、どこが一番高値をつけてくれるのかを調べる必要があるのです。
場合によっては数千円単位の買取価格の差が出たり、買取不可と言われたものが買取OKになったりもします。そのため相見積もりは、面倒でもぜひとも試してほしい方法です。
一括見積もりはリサイクルページで!
炊飯器を含む中古品の買取価格は、様々な要素が絡むうえに業者によっても変動するため、一度相見積もりにかけてみなければ、自分が売りたい炊飯器がいくらくらいで売れるのかはわかりません。しかし自分であちこちの業者に査定をしてもらうのはかなりの手間と時間がかかります。
そこでおすすめなのがリサイクルページです。リサイクルページでは、炊飯器の買取に対応している全国のリサイクルショップや不用品回収業者、便利屋などを見つけることができます。
しかも単に見つけられるだけでなく、情報や写真を送るだけで一括見積もり依頼をすることも可能なのです。炊飯器を高く売りたいけれど、自分で相見積もりをとるのは面倒だという人は、ぜひ一度活用してみてください。