ガーデニングをした庭や樹木を植えた庭など、四季折々の変化を感じられて眺めるぶんには心安らぐものですが、庭は放置しているとあっという間に荒れていきます。
中でも庭の主にとって最も頭の痛いのが雑草の問題です。特に春や夏のような植物の成長が早い季節になると、たった1ヶ月放置していただけで庭が荒れ放題になるケースも少なくありません。かといって造園業者のような専門業者に依頼すると費用も安くは済みません。そこでここでは、自分でもできる庭の手入れ方法をまとめて紹介します。
好きな庭の天敵=雑草
雑草とは、すなわち人間が意図して植えていない植物のことを指します。そのためクローバーとして知られるシロツメクサやペンペン草として知られるナズナ、そのほかタンポポなども雑草と呼ばれることがあります。これらが庭の景観を損ねない程度に生えているぶんには、わざわざ雑草対策をする必要はないでしょう。
しかし見るからに景観を損ねている場合は、手入れが必要になります。これにはもちろん見た目を良くするためという目的もありますが、それ以外にもいくつか手入れをするべき理由はあります。
一つは自分で植えた花や木などのための養分が雑草に奪われてしまって、枯れたり育ちが悪くなってしまうから。もう一つは雑草が育つにつれて庭に日陰が増え、その日陰を好む蚊をはじめとする虫が集まりやすくなるからです。自分の庭に集まってきた虫が隣家などに飛んでいけば、雑草の放置が招いた虫問題がご近所トラブルにも発展しかねません。
こうした問題を解決するためにも、雑草対策はどうしても必要になってくるのです。
【目的別】自分で庭を手入れする方法
自分で庭を手入れする方法は、大きく3種類あります。一つ目は草刈機を使う方法、二つ目は手で草を抜く草むしり、三つ目は除草剤を使う方法です。以下ではこれらを目的別に分類し、それぞれのメリットとデメリットを解説していきます。
できるだけ早く除草したい・手間をかけたくない
雑草の放置がご近所トラブルに発展したり、庭の虫が家に入ってきて我慢の限界を迎えていたりと、できるだけ早く除草したい事情があるものの、同時になるべく手間をかけたくないという場合は、草刈機を使う方法がおすすめです。
草刈機は通販サイトやホームセンターで手軽に手に入れることができるため、できるだけ早く除草作業にとりかかりたいという人に適していますし、コツを掴めば短時間で雑草を刈り取り、見た目の改善や虫の発生防止が実現可能です。
ただし草刈機はあくまで草を刈るだけですから、雑草の根はそのまま残っています。そのため季節によっては、一度刈ってもまたすぐ生えてきてしまうというデメリットがあります。したがって特に緊急性がなかったり、手入れの回数をできるだけ少なくしたいという人には不向きな方法になるでしょう。
草刈機には様々な種類があるため、初めて購入するときは迷うかもしれません。しかし自宅で使用する場合は軽量性と静音性に長けている電動充電式が無難な選択肢でしょう。なぜなら効率性や馬力を重視するのであればエンジン式の方が優秀ですが、騒音は避けられないので使う場所が限定されてしまうからです。
できるだけ早く除草したい・手間はいとわない
今すぐ除草作業にとりかかりたい一方で、時間や労力はかかってもいいからしばらく除草しなくても良いようにしたいという場合は、草むしりがおすすめの方法です。
理由は大きく二つあります。一つは草むしりは基本的に軍手とゴミ袋さえあれば身一つで行えるので、思い立ったらすぐ始められるからです。もう一つは草むしりは草の根から抜くため、次に雑草が生えてくるまでの時間が草刈りに比べて長くなるからです。
しかし庭の広さによっては、手作業による草むしりは大変な重労働になります。また夏の暑い時期にやるとなると、熱中症などの危険性も高くなります。したがって体力に自信がない人や、体が弱い人には向いていない方法と言えます。体力に自信のある人や体が強い人でも、作業中は防止をかぶったり、スポーツドリンクを頻繁に飲むなどして、熱中症対策は万全にしておきましょう。
重労働である草むしりを極力楽に行うコツは次の2点です。
1.クワ・鎌・スコップなど使う
……クワ・鎌・スコップで地面をほぐしてから草を抜くようにすると、最初から手作業でやるよりも、効率が大幅にアップします。
2.地面が柔らかい状態で行う
……雨の日の翌日や水を撒いた後などは地面が柔らかくなり、雑草が根から抜きやすくなります。逆に地面が乾いていると抜けにくいため、根が地面に残ってすぐに生えてきてしまうので注意が必要です。
雑草対策として草むしりをする場合は、この2点を念頭に置いて行うようにしましょう。
時間がかかってもいいから、しっかり除草したい
特に緊急性はないものの、どうせやるならしっかりと除草して除草作業の頻度を下げたいという人には、除草剤を使った方法がおすすめです。
除草剤には液体状のものと粒状のものがあり、前者は葉から根に染み込んで1〜2週間程度で雑草を枯らしてくれます。後者は地面に撒いて使いますが、土に染み込んで雑草が生えにくい環境を作ってくれます。
すでに雑草が生えてしまっている場合は液体状のものを使いますが、手作業で抜かなくとも根から枯らすことができるため、非常に効率的です。枯れた雑草は自分の手で処理しなくてはなりませんが、すでに根から枯れているので抜くのも簡単です。
ただしこの方法は、近くに育てている植物がある場合は使えません。なぜなら除草剤が育てている植物にも効いてしまい、その植物の根まで枯らしてしまうからです。したがって花壇や植栽の近くの雑草については、草刈機や草抜きで対応するほかありません。
また除草剤は人体などに有害な物質を含む薬品ですから、取り扱いには注意が必要です。注意点は以下の5点です。
・風の強い日は予想外のところに飛散するため、使用しない。
・雨の日は流れていってしまって効果が低下するため、使用しない。
・使用時は直接肌に触れないよう、マスクや手袋、長袖長ズボン、長靴などを着用する。
・使用済のプラスチック容器は水でよく洗浄してから廃棄する。
・その際の洗浄後の水は除草する場所に撒き、絶対に下水道には流さない。
素敵な庭を長持ちさせる方法
せっかく手入れをしたのなら、雑草のない状態をキープしたいと思うはず。相手が自然なのでずっと雑草が生えない状態を作ることは難しいものの、できるだけ長持ちさせることは可能です。以下ではそのための方法を3つ紹介します。
定期的に除草剤を撒く
一つ目の方法は、先ほども紹介した除草剤を利用する方法です。前述したように除草剤には液体状のものと粒状のものの二種類がありますが、このうち除草効果が長いのが粒状のものです。そのためすでに雑草が伸びてしまった庭を液体状の除草剤できれいにしたあとに、その後定期的に粒状の除草剤を撒いておけば、雑草が生えにくい環境を長持ちさせることができます。
除草効果の持続期間は除草剤によっても異なるため、具体的には各製品のパッケージなどの説明書を参照する必要がありますが、3〜4ヶ月程度が基本的な持続期間です。したがって雑草の少なく、春に向けて植物の活動が盛んになる前の1月〜2月に1回、夏に向けて植物の活動がさらに活発化する前の4月〜5月に1回、除草剤を撒いておけば雑草が茂るのを極力抑えられます。
ただし雑草が生えにくいということは、他の植物も育ちにくいということです。そのため除草剤を撒く範囲については、よく検討するようにしましょう。
砂利を敷く
二つ目の方法は除草が終わった場所に砂利を敷き詰めるという方法です。雑草を含めた植物は、基本的に太陽光がなければ育ちません。そのため庭の地面にすきまなく砂利を敷き詰めて、地面への太陽光を遮ってしまえば、雑草が生えにくくなるというわけです。また砂利の深さも重要で、約5〜8cm程度の深さが出るように砂利を敷き詰めると、雑草の生育を妨げる効果が高くなります。
この方法の最大のデメリットは砂利を敷き詰めるための労力です。例えば縦横1mの1㎡の敷地に、3cmの砂利を敷き詰めるとなるとそれだけで36kg程度の重量になります。これが5cmになると60kg程度、10cmになると120kg程度の重量になります。もちろん敷き詰める面積が広くなるほど重量は大きくなります。しかもこれらはあくまで参考値で、敷き詰める砂利の種類によって重量は大幅に変動します。
そのため砂利を敷く場合はまず砂利を運ぶ手段と、砂利を敷くための人手を確保するところから始める必要があるでしょう。
防草シート+砂利を敷く
三つ目の方法は、地面の上に防草シートという太陽光を遮るシートを敷き、その上に砂利を敷く方法です。人が歩いたり踏んだりしているうちに、どうしても砂利の深さが不均一になり、浅くなったところから太陽光が差し込んで雑草が生えてきてしまいます。しかし防草シートを敷いていれば、太陽光を遮るものがもう一層増えるため、より強力に雑草の生育を妨げることができるのです。
防草シート自体はホームセンターなどでも手に入るため、入手すること自体は難しくありません。そのためやはりボトルネックになるのは、ここでも大量の砂利を運ぶ手段と、砂利を敷くための人手の確保になるでしょう。
まとめ
庭の手入れは手間や時間こそかかるものの、手順や注意点を一つずつ抑えていけば、自分でできないわけではありません。ここでも紹介したように、除草剤や砂利などを使えばきれいな庭を長持ちさせることも可能です。
とはいえ、そもそも手間や時間をかける暇がないという人も少なくはないはず。そのような場合は造園業者のサービスのほか、便利屋の草刈り・草むしりサービスなどを利用するのも一つです。
「できるだけ安く済ませたい」というのであれば、自分の手でできるところまでは自分でやって、残りの部分をプロに任せるという方法もおすすめ。自分の目的や都合に合った形で、うまくプロの手を活用してみましょう。