「遺品整理」は、多くの人にとって初めてのことです。

遺品整理を検討中の遺族

そのため、いざその場所、その状況に立たされると、冷静ではいられなくなったり、どこから手をつけたりすればいいかわからなくなってしまいます。

ただ、いつまでもそのままにしておけないのも事実です。

ここでは、「そもそも遺品整理とは何なのか」、「自分の気持ちとどのように向き合ったらいいのか」、「では実際にはどのように行っていけばいいのか」を中心に、遺品整理の基本について見ていきましょう。

どうしたのくるり、珍しく神妙な顔をして。

友達のひいおばあちゃんがこの間亡くなってしまって。

そ、それは…。

110歳で、大往生だったって友達は言っていたんだ。最後までかくしゃくとしていて元気に暮らしていて。最後まで愛着のある家に住めて、それは本当によかったんだけど、結婚してから80年以上住んでいた家だから、いろんなものが残っていて。友達が、どこから手をつけたらいいかわからない! って言ってるの。

INDEX
  1. そもそも「遺品整理」とはどんなことを言うの?
  2. 実際の遺品整理に際して行うこと
  3. まとめ

そもそも「遺品整理」とはどんなことを言うの?

個人が遺した遺品

そもそも、「遺品整理」とはどのようなことを言うのでしょうか。

遺品整理は、ごく簡単に言えば、「亡くなってしまった人(多くの場合は血縁者です)の残した荷物を片付けること」を言います。

人は亡くなるときに非常に多くのものを残します。特に、「亡くなるまで一軒家で暮らしていた」という人の場合は、残していく荷物が非常に多くなります。

一方、「娘や息子と一緒に暮らすために、もともと住んでいた家を処分してきた」「高齢者施設に住んでいた」「昔からアパート住まいだった」という人の場合は、一度すでに荷物の整理をしたことがあったり、荷物の絶対量が少なかったりするので、一軒家住まいほどは難航しないのが普通です。

ただ、それでも、「いるものといらないものを分けること」は非常に大変です。

特に、遺品整理を行う人と亡くなった人が遠く離れたところで暮らしていた場合、「どれが大切で、どれが処分していいものか」ということを判断することが難しくなります。

不用品と必要なものをより分けたら、今度は、不用品を処分することを考える必要があります。

昔は、「ゴミ」というと、分別もそれほどうるさくはなく、スーパーの袋などでも捨てることができました。しかし現在では市町村で指定のゴミ袋が指定されていますし、タンスや下駄箱などの大型家具は粗大ゴミの処理料金、洗濯機や冷蔵庫といったリサイクル家電はリサイクル料金も必要です。

また、意外なほど、「洋服」「食器」などのようなものの処分に悩まされることになるでしょう。これらは大量に出てくることがあり、ゴミ袋が何枚あっても足りないほどです。

遺品整理を行っていき、不用品を処分した後でも、「その家はどうするのか」という最後の問題が出てきます。高齢者施設や同居家庭であったのならともかく、一軒家に最後まで住んでいた場合、そこが空き家になってしまうことになります。

空き家をそのままにしておくことは決して望ましくないため、なんらかの処遇が必要になります。

めちゃくちゃ大変そうじゃない。。。

諦めないでくるり!

今は友達の話だけど、実際に自分が同じようになったとき、やり切れる自信がないわ。。。

心配しないで、ちゃんとコツはあるから!

実際の遺品整理に際して行うこと

遺品整理

ただ、このように大変な「遺品整理」ではありますが、もちろん、順序良く作業していけばいつかは必ず終わります。

遺品整理をするときのコツは、まずは、「1つの部屋を空っぽにする」ということ。

収納家具を引っ張り出し、中身をいるもの、いらないものに分けていきます。これを繰り返して、徐々に「整理が終わったスペース」を作っていくのです。

遺品整理は時間がかかるものですから、1日で全ての部屋を片付けられるわけではありません。ただ、1つの部屋が終わればすっきりしますし、モチベーションもあがるはず。あれやこれやと手をつけることはやめて、まずは1つの部屋だけを片付けるという気持ちでとりかかりましょう。

最初にとりかかる部屋は、自分の部屋が残っていればまずはそこを、それ以外の場所については、専門家によって見解が分かれています。

「玄関などの簡単なところからやっていった方がいい。動線も確保できる」という人もいれば、「一番大変な台所を片付ければ、達成感がある」とする人も。このあたりは、それぞれの考え方によって選び分ければよいでしょう。

また、ほかの家族の手も借りましょう。

遺品整理をするということは、「亡くなった人と向き合うこと」でもあります。
兄弟や親、親戚などと一緒に、故人の思い出話をしながら整理に当たってください。人手の確保にもつながりますし、故人が亡くなったことを受け入れていくことにもつながります。

疲れてしまったのなら、一度休んで、また別日に行いましょう。遺品整理のときには、さまざまなものが出てきます。

宝石類や食器、美術品などはなかなか財産価値が分かりにくいものでもあります。これらは勝手に処分してはいけません。「遺産」となり得るものだからです。きちんと鑑定をしましょう。
「不要品」がたくさん出てきた、ということであれば、それを処分する方法も考えます。

「別居はしているけれど近場だ」ということならば、ゴミの日にコツコツゴミ出しをしていくのもよいでしょう。そうではない場合、業者に頼んで遺品の処分をお願いする方が手っ取り早いと言えます。

もちろん、「最後まで自分たちの手で処分したい」ということであれば、ゴミ出しを含めて、自分たちで行うとよいでしょう。

ちなみに、ほかの記事で詳しく触れますが、遺品整理の業者を頼む際は、古物商の資格も持っているところに頼むとさらに便利です。(古物商の資格を持っていれば、家電製品などを買い取ってもらえるため)

空き家は、できるかぎり早めに処分した方がよいでしょう。浮浪者のたまり場になったり、天災のときに「害のある家」になったりしてしまいがちだからです。

ただし、空き家管理を行っている法人などもあります。どうしても処分するのが忍びない、処分が決まらない、という場合はこれも考えてください。

大勢の人の手を借りて、1部屋ずつやっていけばいいのね!

全部の部屋を1度にやる、って思わなければ結構取り組みやすいんだ♪

不用品も、業者にお願いすれば運ぶ手間もいらないわね。

不用品だけを残して「あとは全部引き取ってください!」と業者に相談するとスムーズだよ。

まとめ

遺品整理途中の片付け

遺品整理は、ほかの「片付け」とは異なります。

遺品には、その一つひとつに故人の思いと足跡が刻まれています。これを処分することは、時に、残された家族に痛烈な痛みをもたらすでしょう。

特に、まだ亡くなったばかりのころは心情的につらいものだと思われます。

このようなときは、決して無理をしないでください。もちろん遺品整理は早めに行うことが望ましいのですが、心を害してまで行うことではないからです。

また、遺品整理を勧める本などのなかでは、「とにかく処分を!」とありますが、処分したものは二度と戻りません。「捨てようかどうか迷っている」というものがあれば、手元に残しておくのも一つの手です。

上でも述べたように、故人との思い出を共有する人と話しながら遺品整理をした方がいいのは、それぞれにとって「故人を感じさせる形見」が違うこと、また話し合うことそのものが死を受容していくことになるからです。

なんだかしんみりしちゃったわ…。

いつかは来ることだからね。でも大事な人が亡くなった時くらい、しんみりしてもいいんじゃないかな?

そうだね、ゆっくり向き合っていけばいいよ、って友達にも言っておこう!

うん、それが良いね!