- 1. 古物商の「遵守事項」をしっかり守ることが重要
- 2. 相手方の本人確認で気を付けたい4つのポイント
- 2.1 本人確認の「職業」は勤務先の屋号や所在地まで
- 2.2 注意すべき相手方の行動5項目
- 2.3 18歳未満から買い取る場合は保護者の同意が必要
- 2.4 高額な宝石などの現金取引は慎重に!
- 3. 非対面取引の注意点と本人確認の方法
- 3.1 非対面取引の場合本人確認書類のコピーのみはNG
- 3.2 宅配業者の自宅集荷サービス
- 3.3 簡易書留で転送不要扱い
- 3.4 本人限定受取郵便で到達確認する
- 3.5 怪しい場合は警察に通報をする義務がある
- 4. 取引の記録(古物台帳)で気を付けること
- 4.1 記録義務には例外もある
古物商の「遵守事項」をしっかり守ることが重要
「古物営業法」には、古物商が守らなければならない事柄が定められています。これは古物商が許可制である理由の、「盗難品売買の防止」「盗難品の早期発見」「盗難品を被害者へ返却」を果たすためにも絶対に必要な事柄です。
例えば「許可書の携帯」や「標識の掲示」などがありますが、その中でも盗難品の売買防止や早期発見に対して重要なのは「取引時の相手方の確認」と「取引の帳簿(古物台帳等)への記載」です。
どちらも古物商としては当然のことですが、確認不足で犯罪を見過ごしてしまう可能性もあります。
相手方の本人確認で気を付けたい4つのポイント
本人確認の「職業」は勤務先の屋号や所在地まで
相手方の本人確認に利用されているのは「運転免許証」などの公的な身分証明書ですが、職業については自己申告になります。
ただ単に「会社員」「自営業」だけではなく、勤務先の屋号や所在地まで確認するようにしましょう。
また、相手方の住所や氏名・年齢、職業が記載された文書に署名して貰う方法も本人確認として利用されています。この場合、署名は必ず目の前でしてもらいましょう。
注意すべき相手方の行動5項目
・現金の受取を急かしてくる
・落ち着きがない
・同じ人が同じものを複数回取引している
・自分が一旦売却した古物を買い取る場合
・住所記入などにメモを見ながら書く
相手方に上記5項目のような様子が見られる時は、取引する古物についていくつか質問をしたり、他の身分証明書の提示を求めるなど、更に本人確認を行なったほうがいいでしょう。
取引の内容によっては本人確認義務の対象外となるケースもありますが、防犯面で考えると上記のような場合は本人確認をしっかりすべきです。
18歳未満から買い取る場合は保護者の同意が必要
CDやコミックスなどの取引では、相手方が18歳未満となるケースも珍しくありません。相手方が中学生以下の場合は保護者に同伴してもらい、保護者の本人確認と相手方の関係がわかる公的証明書(住民票や保険証など)で確認してください。
高校生及び18歳未満の場合は、保護者直筆の同意書と保護者への電話確認をしましょう。
高額な宝石などの現金取引は慎重に!
200万円を超える宝石や貴金属の取引を現金でする場合は、「犯罪収益移転防止法」の規定により、本人確認の方法が更に厳しいものになります。
この場合に本人確認として認められるものは、
・印鑑証明書
・健康保険証
・国民年金手帳
・運転免許証
・マイナンバーカード(対面取引の場合に限る)
・パスポート
など、公的機関によって発行されたものに限られます。
このケースでは、目の前で住所氏名を記入してもらう方法は認められていませんので、注意が必要です。
非対面取引の注意点と本人確認の方法
非対面取引の場合本人確認書類のコピーのみはNG
非対面取引は相手方と直接対面せずに取引が行なわれるため、なりすましなど、犯罪行為のリスクが高くなります。よって、非対面での取引の場合は本人確認書類のコピーを送ってもらうだけでは危険となります。
しかし、非対面取引は郵送などで取引ができるので相手方にとっては出向く手間が省け、古物商側では仕入れルートが広くなるなどメリットも大きいので、防犯対策はしっかりしておきましょう。
宅配業者の自宅集荷サービス
手順1. 古物商が宅配業者に、本人確認書類のコピーに書かれた住所に古物の集荷を依頼(本人確認書類の住所と実際の住所の一致を確認できる)
手順2. 本人確認書類のコピーにある氏名と同一名義の口座に代金を振り込む
ここで大切なのは、相手方が自分で宅配業者に集荷を依頼したり、コンビニなどに持ち込んだ場合は本人確認として認められないことです。必ず古物商側が依頼してください。
本人確認書類のコピーは、集荷依頼の前に送ってもらうといいでしょう。
簡易書留で転送不要扱い
手順1. 古物商側が本人確認書類にある住所に簡易書留を転送不要で送り、その到達を確認する
手順2. 本人確認書類の氏名と同一名義の口座に振り込む
簡易書留以外でも、配達先の相手方から受領印が貰えて配達記録が残るものであれば、他のサービスを利用しても問題はありません。
しかし、別の住所に転送されたり、手渡しではなくポストに投函される特定記録郵便などは認められません。
本人限定受取郵便で到達確認する
本人限定受取郵便を利用して到達を確かめる場合は、本人確認証明のコピーも不要で、代金の振込口座の名義が誰のものでも問題ありません。
このケースでは本人以外が郵便を受け取ることは不可能で、受け取る際には配達人に本人確認書類の提示が必要だからです。
怪しい場合は警察に通報をする義務がある
本人確認書類と申告内容が違うなど、盗難品などの不正品の疑いがあるときには古物商は買い取りを中止しましょう。怪しいものは警察に通報する義務(申告義務)があり、これを怠ると古物商の営業停止や古物商許可取消しの処分を受ける可能性があるので注意してください。
また、相手方の本人確認義務に違反しても営業停止や許可取り消しになることがあります。
取引の記録(古物台帳)で気を付けること
個人確認の他にも古物商の義務はあります。それが取引の記録(古物台帳)です。
古物商では、古物の売買・交換やそれらの委託には常にその取引について記録する義務があります。違反したり、虚偽があった場合は懲役や罰金刑に処されます。
また、古物営業法では古物台帳の保存期間は3年と定められていますが、宝石や貴金属など200万円を超える現金取引をする場合の記録は7年になり、古物台帳に記入すべき項目も増えるので注意しましょう。
記録義務には例外もある
古物台帳に記録しなくても良いケースもあります。買受、または売却の金額が1万円未満の取引の場合などです。
しかし、以下の古物に関しては記録義務の免除はありません。
・バイク・原付自転車
・ゲームソフト、CD・DVD・レーザーディスク等
・書籍
他にも売却の場合のみ記録義務が免除されるものなど、ケースによって免除になるものがさまざまですから混乱しないように、都度確認した方がいいでしょう。
古物商が扱う物品は、盗難品などの不正品である可能性が常に存在します。犯罪に加担しないためには、しっかりとした個人確認と古物台帳の記入が必須といえます。
ケースによっては例外や免除対象などがありますが、混乱しないように迷ったらすぐに確認し、怪しいと思う取引があった時はすぐに警察に通報しましょう。