価格表示

「5,800円(税抜)」「12,800円+税」といった表記を使って、値頃感を出している事業者は少なくないはず。しかし実は、2021年4月1日からこうした税抜表示は、消費税法違反とみなされることになります。

今回は消費税法にもとづいて、税抜表示がNGになる取引やアウトorセーフのライン、違反した場合の罰則などについて、簡単に解説します。

INDEX
  1. 4月1日付で「総額表示義務の特例」の期間が終わる
  2. 「総額表示義務」、アウトの場合・セーフの場合
  3. 現時点では罰則などはなし!
  4. まとめ

4月1日付で「総額表示義務の特例」の期間が終わる

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2014年4月1日に5%から8%へ、2019年10月1日に8%から10%へと引き上げられた日本の消費税

国はこの度に値札の貼り替えなどが発生することを考慮して、「税抜かどうかがわかるように書いていたら、しばらくは総額表示(税込表示)じゃなくてもいいよ」という特例を設けました。これが総額表示義務の特例です(消費税転嫁対策特別措置法)。

この特例、当初は2013年10月1日から2018年9月30日まででしたが、2016年11月の改正で2021年3月31日までに延長されていたのです。

しかし4月に入ったことで、特例の期間が終了。対象となる表示に関しては、総額表示が義務づけられることとになったというわけです。

「総額表示義務」、アウトの場合・セーフの場合

法律の本とガベル

総額表示義務となる表示は、以下のようなものを指します。

・値札など、商品本体による表示
・POPなど、店頭における表示
・チラシ広告、新聞・テレビによる広告などの表示
SNSで発信する価格の表示
・その他、消費者に対して行われる価格表示全般 など
※口頭での価格の提示は例外

ただし、一口に言っても価格の表示方法は様々です。また冒頭でも触れたように、これまで税抜表示で値頃感を出してきたお店にとっては、いきなり税込表示にすることで、売上に悪影響が出る可能性もあります。

そこで下表に、アウトの場合とセーフの場合をまとめました。価格表示をする際の参考にしてください。

アウト セーフ
・10,000円
・10,000円(税抜)
・税抜価格10,000円
・10,000円+税
・本体価格10,000円 など
・11,000円
・11,000円(税込)
・11,000円(税抜価格10,000円)
・11,000円(うち消費税額等1,000円)
・10,000円(税込11,000円) など

参考:国税庁

ポイントは、実際に消費者が支払う金額である11,000円がはっきりと表示されているかどうか。それさえきちんと書かれているのであれば、税込金額が前に来ても後ろに来ても問題ありません。

そのため少しでも値頃感を演出したいという場合は、「10,000円(税込11,000円)」などの表示をすることも可能です。

現時点では罰則などはなし!

価格表示

とはいえ、「本体価格10,000円」などの表示ができないとなると、事務作業の増大や利益減などにつながる可能性もあります。仮に税抜表示を続けて、総額表示義務を無視した場合はどうなるのでしょうか。

結論としては、どうにもなりません。というのも2021年4月1日現在、総額表示義務違反には罰則が設けられていないからです。

ですが、すでに総額表示に切り替えるお店も増えてきており、税抜表示を続けることで今後消費者とのトラブルが増える可能性も十分あります。

また2003年に総額表示義務が初めて提案された理由を考えると、事業者としては総額表示をした方が消費者のためになることもわかります。

<総額表示義務が生まれた理由>
・税抜表示はレジで支払う金額がわかりにくかったり、税抜・税込表示が混在することで価格の比較がしにくかったりしているから。
・総額表示が義務になれば、こうした問題が解消されるから。
参考:中小企業庁

以上のことから、現在税抜表示をしている事業者は、できるだけ早い段階で総額表示に切り替えることをおすすめします。

まとめ

2021年4月1日から総額表示が義務化され、税抜表示が違法になってしまいます。現時点では違反しても罰則が与えられることはありませんが、消費者との無用なトラブルや、消費者の利便性を考えると、できるだけ早い対応が求められると言えるでしょう。

価格表示の切り替えは人手が足りない事業者には大変かもしれませんが、きちんと時間を確保して対応するようにしましょう。