産業廃棄物と一般廃棄物の違いをチェック
まずは、産業廃棄物と一般廃棄物の違いをチェックしましょう。一般廃棄物の収集には一般廃棄物収集運搬の許可を得る必要がありますが、これには一定以上の条件が必要となります。知らずにいると違法となってしまう場合もありますので、これらの違いを明確に認識しておく必要があります。
業者から出される木材のゴミは産業廃棄物
産業廃棄物として処理される木材のゴミは、建設業などから出る木くずなどが挙げられます。新築や改築、または解体などによって出た木くずは、産業廃棄物としてリサイクル業者が回収可能となります。
他にも木材や木製品を製造する際に出た木くずなども産業廃棄物です。家具を作っている業者などから多く出されます。
その他パルプ製造、木材輸入に関わる業者からも、木材の産業廃棄物を回収することが可能です。
木材の産業廃棄物が排出されることの多い業者には林業、木材産業、家具製造業、パルプ製造業、紙加工品製造業、道路・河川管理業などがあります。
家庭や自然の中から出る木材のゴミは一般廃棄物
一方で一般廃棄物は、一般家庭から粗大ゴミとして出された家具など。梱包用の木箱や枕木も一般廃棄物にあたります。自然から出た流木も一般廃棄物なので注意しましょう。
産業廃棄物はチップ化されることが多い
では、回収した木材の処理方法についてチェックしていきましょう。木材と一口に言ってもその中からさらに分類されます。そして、分類によって処理の方法も違います。
木くずの中でも、木材の産業廃棄物は、チップ化されてリサイクルされることが多いです。次いで埋め立てや焼却、熱エネルギーをリサイクルする焼却、燃料化、堆肥化などが続きます。
産業廃棄物の処理料金は「10キロあたり300円未満」が妥当
産業廃棄物である木材の処理料金を見ていきましょう。木材の処理は、その重さで料金が決まることがほとんどです。特に産業廃棄物はその量も多くなりますので、10キロあたりでの計算が多いですね。
一般的に、10キロあたり「100円〜300円」程度で処理してくれる業者が多いようです。次いで100円未満、500円未満と続きます。
木材はリサイクルしやすいのが特徴
リサイクル業者に持ち込んだ木材はどのようなものにリサイクルされるのか見ていきましょう。木材はリサイクル性が高く、様々なアイテムに変身します。
木材のリサイクル方法には大きく分けて
・チップ化
・ファイバー化
・ペレット化
の3種類があります。それぞれの特徴をご紹介いたします。
木材を細かく均一に揃えた「木材チップ」
まずは木材チップからご紹介します。木材チップは、大きさや厚さなどがバラバラの木材を集め、均等な大きさ、厚さに揃えてチップ状にしたもの。大きさを揃えることで後に加工しやすくなり、好きな大きさや硬さに調整することが可能になります。
この木材チップはさらに加工されると木材パルプとなり、紙などにリサイクルされます。これについては後に詳しくご紹介いたします。
他にも家具や家電、建築材などにも利用されます。その他畜産業、農業にも、そのままチップとして利用されます。
チップより細かく砕いた「木材ファイバー」
さらに、木材チップよりも細かく砕いて繊維レベルにまで分解したものが木材ファイバーです。製材業などから出た細かい木材のごみは、このようなファイバーとしてリサイクル活用されることが多いです。
この木材ファイバーは非常に細かいので、再度固めて使うのにも最適。圧縮して厚みを持たせたものはファイバーボードとして使われます。
また、細かい繊維状なので断熱材や防音材としての活用も可能。室内の湿度調整にも役立ちます。このように木材ファイバーから作られたアイテムは、再び建築業者の元へ渡ります。
燃料として役立つ「木材ペレット」
さらに木くずを粉砕して再度固めたものは木材ペレットになります。ペレットは、ストーブや暖炉などの燃料として使用されます。
ものを燃やすと二酸化炭素が排出されますが、これは地球温暖化の原因とも言われていますよね。もちろん木材ペレットを燃やしても二酸化炭素が出ます。しかしこの二酸化炭素はもともと木が成長する段階で吸収した二酸化炭素を放出しているだけなので、大気中の二酸化炭素は結局増えないものとしてカウントされます。
そのため地球にも優しい燃料材として、昔から親しまれています。
リサイクル工場で木材がリサイクル原料になるまでの仕組み
木材のリサイクル方法がわかってきたところで、リサイクル工場で持ち込んだ木材がチップになるまでの仕組みを見ていきましょう。
木材受け入れ後は異物を除去する
木材がリサイクル工場に持ち込まれたら、まずは異物を除去する工程に入ります。木材のごみには土、虫、金属などが混入していることがありますので、それらを丁寧に取り除き、チップ化できるようにしていきます。
木材を薄く切り取っていく
次に、木材を薄く切り取る工程に入ります。大きさや薄さを均一にすることでこのあとの工程をよりスムーズに進めていくことが可能になります。
含水率を調整する
木材チップの含水率を調整します。この含水率は使用目的によって決まります。リサイクル工場によっては、より乾燥させたり、乾燥を弱めたりと調整できるところもあります。
熱を与えて形を形成する
木材を乾燥させ含水率の調整が終わったら、木材を糊付けしてチップを構成していく段階に入ります。オモテ面、芯、さらにオモテ面の3層になっていることが多いです。
糊付けが完了したら、熱を与えて木材を圧縮していきます。形をしっかりと作るのと同時に、糊付けをより強固にする意味合いもあります。
木材を削り、サイズに合わせてカット
木材を削り、理想の厚みにしていきます。その後カットし、木材チップの完成です。この大きさは製品や使用用途によって変わります。
その後はチップより細かく砕いてファイバーにしたり、固めてペレットにすることもあります。
点検を終えて出荷
木材チップの点検、梱包が終わったら出荷です。さらに紙加工業者の手に渡ったり、そのまま農業、畜産業に用いられていきます。
木材チップが再生紙にリサイクルされるまで
木材チップのリサイクル先としてメジャーなのが再生紙。ここでは、木材チップが再生紙としてリサイクルされるまでの工程をご紹介します。
蒸解釜で繊維を取り出す
まずは蒸解釜に木材チップを投入します。一緒に蒸気と薬品を釜に入れることで、木材チップは繊維と液体に分かれます。再生紙にはこのときに抽出された繊維のみを使用しますが、液体も燃料としてリサイクルされます。
漂白してパルプを完成させる
蒸解釜で取り出された繊維はまだ木材特有の色味があります。これを何度も漂白して、紙として使えるレベルの色にしていきます。
このときにも汚れた水が排出されますが、この水も再利用されます。排水する際もきちんと処理をしてから排出するなど、環境汚染のことをしっかり考えられています。
パルプの特性を生かして製紙していく
こうして出来上がったものをパルプと呼びます。木材のパルプにはセルロースが含まれています。このセルロースは水素結合などで結びつくという特性があります。この特性を生かして、再生紙を作っていくのです。