骨董
古物商は文字通り古物を商うものですが、古物商許可における「古物」は、中古物品全てというわけではありません。

今回は、中古品でも古物商許可においては「古物」に該当しないケースのご紹介とともに、「古物」であるかどうかの判断方法について詳しく解説します。

INDEX
  1. 盗品として売買される可能性が低いものは古物ではない
  2. 本質的な変化を加えなければ利用できないものも古物ではない
  3. 本来の使用目的で使われていていない中古物品も該当しない
    1. 航空券や収入印紙などは新品でも古物扱いになる
  4. 古物の定義とその判断方法
    1. 使用されたものや盗品は古物扱いになる
    2. 古物かどうかの判断基準3つ

盗品として売買される可能性が低いものは古物ではない

盗品として売買される可能性が低いものは古物ではない
古物商が許可制である目的は、盗品などの売買の防止とその速やかな発見を図ることと古物営業法で定められています。

古物営業表第1条(目的)
「この法律は、盗品などの売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規則を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。」

そのため、中古物品であっても盗まれる危険性が低く、盗まれても発見しやすい大型機械などは、古物商許可における古物に該当しません。

古物に該当しないのは主に以下の8つです。

古物に該当しないもの
・総トン数が20トン以上の船舶
・航空機
・鉄道車両
・重量が1トンを超える機械で、土地や建造物にコンクリートや溶接などで固定され、簡単に取り外しができないもの
・重量が5トンを超える機械で、自走及びけん引したりすることができないもの(船舶を除く)
・庭石(大きいもの)
・石灯籠

本質的な変化を加えなければ利用できないものも古物ではない

・空き缶類
・鉄くず
・繊維くず
・古新聞
・被覆いのない古銅線類

これらは全てそのままでは利用できない廃品です。溶かすなどして本質的な変化を加えないと再利用できません。

また、加工の手間がかかるものは盗まれにくいと考えられます。こういったものも、古物には該当しません。

本来の使用目的で使われていていない中古物品も該当しない

通過とテレフォンカードと切手

古物の定義の中に、本来の目的に従って使うために取引されたものというものがあります。つまり、本来の目的とは違った目的で取引されたものは古物から除外されます。

例えば、古銭や切手・テレホンカードを趣味で収集していた場合、本来の目的とは違うので古物には該当しない可能性があるのです。

ですが、趣味目的でなければ古物に該当します。実際に、これらのものは古物営業法施行規則第2条で規定される古物の区分の中にも含まれています。

航空券や収入印紙などは新品でも古物扱いになる

ここまでは、中古品であっても古物扱いにならないものをご紹介しましたが、こちらは逆に新品であっても古物扱いになるものです。
・収入印紙
・航空券
・美術館や遊園地・動物園、博覧会の会場など不特定かつ多数の者が入場する施設や場所の入場券
・金額が記載され、電磁的方法によって記録されている証票その他の物

これらの「金券」は未使用であっても古物に含まれます。

4つ目の一「金額が記載され、電磁的方法によって記録されている証票その他の物」をさらに細かくすると次のようになります。

・電話料金の支払いのために使えるもの
・乗車券の交付を受けることができるもの
・有料道路料金の支払いのために使えるもの
・タクシーの運賃や料金の支払いのために使えるもの

テレホンカードやタクシーチケットなどがこれに該当します。
これらはどれも簡単に換金できたり、お金の代わりとして使えるものばかりです。そして盗まれやすいものでもあるので、古物商許可においては古物扱いとなるのです。

古物の定義とその判断方法

古物の定義チャート

使用されたものや盗品は古物扱いになる

古物営業法では、古物は次のように定義づけられています。

古物営業法第2条1項
「古物」とは、一度使用された物品若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。」

わかりやすいように、CDを例にして説明しましょう。

・一度でも使用された物品(一度でも再生したCDや、開封したCD)
・未使用の物品でも、使用するために取引されたもの(買ったまま未開封のCD)
・上の2つに当てはまる物品を「幾分か」の手入れをしたもの(表面の傷を研磨したCD)

ここでいう「物品」は動産のことで、古物に該当しないと先ほどご紹介したもの(航空機など)は除外されます。

「使用する」とは、その者の本来の使い道に従って使うことです。例えばCDならば再生すること、衣類ならば着用することがそれにあたります。
珍しいケースとしては、本来乗るための自動車でも、観賞用として取引された場合は「古物」に該当しないことも。

「幾分かの手入れ」とは、物品本来の使い道や性質に変化を及ばさない程度のものです。CDのように、表面の傷を研磨するだけであれば使い道に変化はありません。

そしてもう1つ、古物の定義として欠かせないのは「盗品である可能性があるもの」です。
一度再生したCDも、未開封のまま使用のために取引されたCDも、盗品である可能性があります。

しかし、「最初から転売が目的で買った新品のCD」は聴くために取引されたものとは言えないので、古物に該当しません。転売目的で買った新品を売るのは、本来の目的になるので、盗品の可能性は低いと考えられるからです。

古物かどうかの判断基準3つ

1. 「動産」であること
船舶や航空機のように大型物品は、盗まれて闇市場で転売される可能性が低いので除外

2. 「使用されたもの」

3. 「使用するつもり」で新品を買ったが「使用されなかった」動産は古物
最初から転売目的などで、使用するつもりがなかった場合は除外

中古物品であっても古物ではない、新品であっても古物、そして古物に該当するものでも、本来の目的どおりに使用されない場合は古物から除外される、など古物商許可における古物の判別方法は、一見ではわかりづらいものがあります。

しかし、盗品である可能性があり、使用されたものか、未使用でも使用目的で取引されたものは「古物」に該当する可能性が高い、と考えれば意外と簡単に判断できるものと言えるでしょう。

それでも判断に迷ったら、警察の生活安全課に相談することをおすすめします。