リサイクル業に必要な法令や許可

リサイクル業を営むには、知っておくべき・注意すべき法令や許可がいくつか存在しています。

今回は、リサイクルショップ・金券ショップの運営など古物営業を行なう際に必要な古物商許可(古物営業法)、産業廃棄物の取扱業を営む際に必要な産業廃棄物許可(産業物処理法)、携帯電話やデジタルカメラなど小型家電の回収業を営む際に必要な小型家電リサイクルの事業者認定(小型家電リサイクル法)についてご説明します。

INDEX
  1. リサイクル・金券ショップなど古物営業を行なう時に必要な「古物商許可」
    1. 古物商の許可の取得
  2. 産業廃棄物の収集・運搬事業に必要な「産業廃棄物収集運搬業の許可」
    1. 産業廃棄物収集運搬業の許可の取得
  3. 小型家電の回収業を営む際に必要な「小型家電リサイクルの事業者認定」
    1. 小型家電リサイクルの事業者認定の取得
  4. リサイクル業を営む際は事前に必ず法令や許可を確認して!

リサイクル・金券ショップなど古物営業を行なう時に必要な「古物商許可」

リサイクル業に必須な古物商許可

他人と古物を売買・交換する、または委託を受けて売買や交換を行うなど、古物営業を行なう際に必要となるのが、古物営業法によって定められている「古物商許可」です。

古物とは主に

  • • 他人が一度でも使用したことがある物品
  • • 未使用品であったとしても使用することを目的に取引されたことがある物品
  • • 上記2つの物品にメンテナンスを行ったもの

などを指し、具体的には以下13種類に分けられています。

古物商許可で営業できる業種一覧

これらの古物の中には、窃盗の被害品など問題のある物品が混在している恐れがあります。こうした盗品などの売買を防止し、被害品を早期発見することで犯罪の防止・被害の解決を目的としてとられている制度が古物営業法による「古物商の許可」です。

参考:『古物営業法の解説』警視庁

古物商の許可の取得

古物商の許可を取得するには、古物業を営む営業所の所在地を管轄する警察署の防犯係へ申請書・添付書類を提出し、業務内容の確認や申請手数料納入などの手続きを行う必要があります。

申請から40日以内に申請した警察署から連絡がありますので、そこで許可が降りれば古物商の許可を得たことになります。

詳しくは警視庁の公式サイトを御覧ください。

古物商の許可を得ずに古物営業を行なうと、罰金や、最悪の場合懲役刑に罰せられる可能性もありますので注意しましょう。

産業廃棄物の収集・運搬事業に必要な「産業廃棄物収集運搬業の許可」

産業廃棄物回収には産業廃棄物収集運搬許可が必要

産業廃棄物を排出する業者からの委託を受け、排出事業者が事業所で収集した廃棄物を中間処理施設や最終処分場へと運搬する「産業廃棄物収集運搬業」。この産業廃棄物収集運搬業を行なう場合には、廃棄物処理法によって定められている「産業廃棄物収集運搬業の許可」が必要となります。

産業廃棄物収集運搬業の許可の取得

「産業廃棄物収集運搬業の許可」の取得には、都道府県知事等の許可を受ける必要があります。許可が降りるに要件として、主に

  • • 「施設に係る基準」
  • • 「申請者の能力に係る基準」

を満たしていることが挙げられます。以下で詳しく見てみましょう。

【施設に係る基準】
施設に係る基準では、収取運搬業の場合は「廃棄物の飛散や流失・悪臭を発する恐れのない設備を有していること」、積替施設を有する場合は「廃棄物の飛散や流失、および地下への浸透、悪臭が発散しないよう必要な措置を講じていること」。処分業の場合は「対象の廃棄物を処分するのに適する処理施設を有していること」といった点が要点として求められます。

【申請者の能力に係る基準】
申請者の能力に係る基準では、廃棄物の収集や運搬、処分を正しく行なうために必要な知識と技能に加え、的確かつ継続して行うに足りる経理状態であることなどが要件として求められます。

多くの都道府県では、申請者が廃棄物処理運搬業を行うのにじゅうぶんな技術を証明する書類として、日本産業廃棄物処理振興センターによる講習を受講し、修了証を受領することが求められています。

こうした要件・基準をクリアし、認定を受けることで産業廃棄物収集運搬業の許可を取得したことになります。この許可がないと、産業廃棄物処理法違反となり、罰則が適用される可能性がありますので注意しましょう。

より詳しく正確に知りたい方は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律を御覧ください。
別都道府県の許可が必要な場合の例

ただし注意しなければならないことが1点あります。それは産業廃棄物の荷積みを行なう地と荷降ろしを行なう地が異なるなど、都道府県がまたがる場合には各都道府県両方の許可が必要となるという点です。例えば、

荷積み地 東京都八王子市
荷降ろし地 東京都府中市

上記のような場合には東京都による産業廃棄物収集運搬業の許可を受ければ良いのですが、

荷積み地 東京都八王子市
荷降ろし地 埼玉県春日部市

上記のような場合には、東京都・埼玉県どちらの産業廃棄物収集運搬業の許可を受ける必要があるのです。

小型家電の回収業を営む際に必要な「小型家電リサイクルの事業者認定」

小型家電リサイクル事業者認定

平成25年4月1日に成立した法律が「使用済小型家電電子機器などの再資源化の促進に関する法律」、通称小型家電リサイクル法です。

テレビや冷蔵庫、エアコン、洗濯機といった大型家電に関しては、家電リサイクル法にもとづいてリサイクルが進められてきました。この家電リサイクル法の対象となっていない小型家電(携帯電話やデジカメ、時計、炊飯器、電子レンジ、扇風機など)を対象とし、リサイクルを進めるための法律が「小型家電リサイクル法」です。

この法律にもとづき、上記のような小型家電の回収業を行なうには「小型家電リサイクルの事業者認定」を受けた認定事業者でなければならないと定められています。

小型家電リサイクルの事業者認定の取得

小型家電リサイクルの事業者認定を受けるには、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室、または経済産業省産業技術環境リサイクル推進課に必要な申請書類(再資源化事業計画)を提出し、許可を得る必要があります。

認定を受けるには、(1)〜(5)全ての内容に適合していなければなりません。

(1) 再資源化事業の内容の基準
(2) 使用済小型電子機器等の収集を行おうとする区域の基準
(3) 申請者及び使用済小型電子機器等の収集等を行う者の能力の基準
(4) 使用済小型電子機器等の収集等の用に供する施設の基準
(5) 欠格要件に該当しないこと

詳しくは使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律に係る再資源化事業計画の認定申請の手引きを御覧ください。

リサイクル業を営む際は事前に必ず法令や許可を確認して!

これらの許可を得ていないまま業務を行なったり、法令を破ったりということがあれば、罰金や業務停止などの罰則を受ける可能性がありますので、じゅうぶんに注意しましょう。