不用品回収業者やリサイクルショップなど、リサイクル業者に関連する2つの法律の改正法が、2020年4月1日から適用になります。
その法律とは古物営業法とフロン排出抑制法です。2つの法律の改正内容について解説するとともに、何をすれば法律を遵守できるのかをわかりやすく説明します。
改正古物営業法は「主たる営業所等の届出書」を警察署に提出しておこう
改正古物営業法については店舗の管理者や責任者は要チェック!改正古物営業法の解説でも解説していますが、2020年4月1日から適用になる改正内容は一連の法改正最後の項目です。
その内容とは「許可単位の見直し」です。これに対応するためには、「主たる営業所等届出書」を提出する必要があります。
現在古物商として営業をしている事業者は、この書類を提出しなければ許可取り消しとなり、その後も営業を続けた場合は無許可営業とみなされる可能性があります。
以下で3つのステップに分けて対応方法を解説しますので、必ず対応してください。
ステップ1:自社が届出の対象者かどうかをチェックする
届出の対象者となるのは、現在古物商(もしくは古物市場主)として許可を受けている事業者です。仮に営業所が一つしかない場合も、この条件に当てはまるのであれば「主たる営業所等届出書」を提出しなければなりません。
ステップ2:記載例に従って「主たる営業所等届出書」を作成する
ステップ1で届出対象者に当てはまる場合は、「主たる営業所等届出書 別記様式(附則第2項関係)その1、その2(MS word:19KB)」をダウンロードし、下図の記載例に従って、書類を作成しましょう。
なお、届出書・記載例は、警視庁のホームページまたは各都道府県の警察署ホームページからもダウンロード可能です。
引用:警視庁
ステップ3:2020年3月31日までに管轄の警察署防犯係に提出する
作成した書類は、管轄の警察署防犯係の窓口に、届出期限である2020年3月31日までに提出してください。
管轄の警察署がどこなのかがわからない場合は、警視庁の「警察署一覧」から調べることができます。
繰り返しになりますが、この期限をすぎた場合は許可が取り消しとなり、その後も営業を続けると無許可営業とみなされるおそれがあります。
再取得する手間やお金もかかりますから、未提出の事業者は、必ず期間内に提出しましょう。
改正フロン排出抑制法は「業務用エアコン・冷蔵庫」の回収に要注意!
続いて同じく4月1日から施行される改正フロン排出抑制法について解説します。
一般的なリサイクル業者が業務用エアコンや冷蔵庫の回収依頼を受けた際、対応は大きく2つに分かれます。
一つは中古販売を前提とした買取をする場合。もう一つは産業廃棄物収取運搬業許可を取得していて、産業廃棄物として引き取る場合です。
このうち今回のフロン排出抑制法の改正に関係があるのは、後者の「産業廃棄物収取運搬業許可を取得していて、産業廃棄物として引き取る場合」です。
そもそもフロン排出抑制法とは、地球温暖化に悪影響のある物質であるフロン類の製造から廃棄までを適切に実施するために施行された法律です。
今回の改正により、この法律に下図の内容が加えられました。
対象となる機器は「第1種特定製品」(機器に貼り付けられているステッカーで判断可能)です。
これらのフロン類の回収が確認できない場合は、別途「第一種フロン類充塡回収業者」として登録していない限り、機器の引き取りができません。
フロン類が回収されているかどうかの確認は、「廃棄する人=管理者」から、「第一種フロン類充塡回収業者」として登録している充填回収業者による「引取証明書」の写しを受け取ることで確認します。
もしフロン類の回収の有無を確認せずに引き取った場合や、引取証明書を法律に定められた期間(3年間)保管せずに紛失等してしまった場合は、最大で50万円以下の罰金が課せられることがあるので、くれぐれも注意しましょう。
<補足>
中古販売を前提として買い取ったものの、再販できずに廃棄物として処理しなければならない場合は、「第1種特定製品」として産業廃棄物収集運搬業許可業者もしくは産業廃棄物処理業許可業者に委託する必要があります。
このケースでは自社が「廃棄する人=管理者」になるため、以下の手続きが必要になります。
1.充填回収業者に依頼して、「回収依頼書」を業者に渡す。
2.充填回収業者から「引取証明書」を受け取る。
3. 産業廃棄物収集運搬業許可業者もしくは産業廃棄物処理業許可業者に「引取証明書」の写しを渡す。各書類の雛型や記入例は、環境省のこちらのページを参考にしてください。
まとめ
リサイクル業は開業しやすいぶん、世間からは「違法な業者が多い」などとグレーな仕事と見られがちです。そうしたイメージを変えていくには、大前提として法令を当たり前に守れている必要があります。
4月1日から古物営業法とフロン排出抑制法という、リサイクル業者にとって大きな法律の改正が適用されます。ここで説明した内容をあらかじめ把握し、各社対応を進めましょう。