LINE@は極めてコストが安いながら、集客や販売、消費者とのコミュニケーションに高い効果を発揮するツールです。不用品回収業者やリサイクルショップなどの中には、実際に運用しているというところも多いのではないでしょうか。
2018年11月1日、このLINE@の公式ブログから【重要】LINE@サービス統合のお知らせという発表がありました。その内容はこれまで別々で運営されていた「LINE@」「LINE公式アカウント」「LINE ビジネスコネクト」「LINE カスタマーコネクト」のサービスを、全て「LINE公式アカウント」として統合するというものです。そして、これと同時にLINE@のサービスに大幅変更が加えられることも発表されました。
ここでは現在のサービスと比べて主にどのような変更が行われるのかをレポートするとともに、それらの変更が具体的にどのような影響をもたらすのかを考えたいと思います。
今回のLINE@の変更点
・現在のプロプラン/プロ(API)プラン相当のプラン料金を値下げ
・プレミアムIDの初年度料金を値下げ
・タイムライン投稿を全てのプランで無制限で利用可能に
・これまで有料プランでの利用に限られていた機能を全てのプランで利用可能に
・メッセージ配信を配信通数に応じた従量課金制に
引用元: LINE@公式ブログ
今回LINE@の公式ブログで発表された主な変更点は上記の通りです。これを従来のプランと比較すると以下のようになります。
<旧サービス→新サービス>
プラン | フリー→フリー | ベーシック→ライト | プロ→スタンダード |
---|---|---|---|
月額(価格は税抜) | 0円→0円 | 5,000円→5,000円 | 20,000円→15,000円 |
メッセージ配信の料金システム | 定量制→従量課金制 | ||
タイムラインへの投稿 | 月4回→無制限 | 無制限→無制限 | |
機能の制限 | 多め→なし | 少なめ→なし | なし→なし |
プレミアムID(価格は税抜) | 初年度2,400円、2年目以降1,200円→初年度から1,200円 |
フリープランでタイムラインへの投稿が無制限化された点や、フリープランとベーシックプランで設けられていた機能の制限がなくなった点も大きな変化ですが、最も大きいのはメッセージ配信の料金システムの変更です。下表は新旧サービスの料金システムをまとめたものです。
<旧サービス>
プラン | フリー | ベーシック | プロ |
---|---|---|---|
メッセージ配信 | ターゲットリーチ数×吹き出し数=1,000通まで | ターゲットリーチ数5,000人以内は無制限 | ターゲットリーチ数100,000人以内は無制限 |
<新サービス>
プラン | フリー | ライト | スタンダード |
---|---|---|---|
メッセージ配信(無料分) | 1,000通 | 15,000通 | 45,000通 |
追加メッセージ配信料金 | 追加購入不可 | 5円/1通 | 1.5〜3円/1通* |
※追加メッセージ配信数が多くなるほど料金が安くなる。
また新サービスにおける「メッセージ配信1通」は、旧サービスのフリープランにおけるターゲットリーチ数×吹き出し数から、ターゲットリーチ1人へ1回のメッセージ送信へと変更になっています。1回のメッセージ送信では、最大3吹き出しまで送信可能とされています。
したがって、今回の変更でフリープランに関してはメッセージ配信1通のカウント方法が変わったため、実質3倍のメッセージ配信が行えると考えることもできます(ターゲットリーチ数×吹き出し数=1,000通→ターゲットリーチ数×3吹き出し数(最大)=3,000通)。一方で、ベーシックプランからライトプラン、プロプランからスタンダードプランの変更に関しては、5,000人もしくは100,000人以内であれば何度でもメッセージを配信できていたところが、無料分を超えると課金されるようになります。
例えばライトプランでターゲットリーチ数3,000人に対して月に8回メッセージ配信を行う場合、従来であれば月額5,000円しかかかりませんでしたが、3,000人×8回=24,000通というカウントになるため、無料分15,000通を差し引いた9,000通に1通あたり5円の追加料金が必要になります。したがってこの場合、月に必要なコストは5,000円+9,000通×5円=50,000円です。
今回の変更でどんな影響がある?
今回発表された内容は、2019年春以降から所定の期間内に新サービスへ移行したアカウントに適用されます。では実際に変更が適用された場合、LINE@を利用する事業者等にはどのような影響があるのでしょうか。以下でプラス面とマイナス面両方から考えてみましょう。
試験導入がしやすくなる
従来のLINE@のフリープランは、タイムラインへの投稿や機能の点で制限がかけられていました。しかし今回の変更によって両方の制限が一切なくなり、月額料金を払わなくともLINE@を試験的に導入できるようになりました。
これは今まで「フリープランではLINE@の魅力がいまいち見えてこない」「有料版を試すほど必要性を感じない」と考えて、導入を見送っていた事業者にとっては大きなメリットになるでしょう。
プラン選びがしやすくなる
タイムラインへの投稿の制限、機能の制限、メッセージ配信の制限と、従来のLINE@ではプラン間の違いがやや複雑でした。そのため結局どのプランが最適なのかがわかりづらい側面がありました。
しかし今回の変更により、プラン間のタイムラインへの投稿の制限、機能の制限がなくなり、大きな違いがメッセージ配信の料金だけになります。そのため自社はどれくらいのメッセージを配信したいのか?を考えるだけで、最適なプランを選べるようになるのです。
これは「結局どのプランがいいのかがわからない」と判断を先延ばしにしていた事業者にとって、LINE@導入への後押しになるのではないでしょうか。
予算管理が難しくなる
一方でメッセージ配信の料金システムが変更になったことで、予算管理が従来より難しくなる可能性はあります。
なぜなら、前述したようにそれまでは月額料金だけでよかったところが、従量課金制の導入によって追加メッセージ配信料金がかかるケースが出てくるからです。またターゲットリーチ数は配信者側の知らないうちに増減する場合もあるため、単純に「友達」全員にメッセージを一斉配信してしまうと、想定していたコストより多くなったり少なくなったりする可能性もあります。
この点にデメリットを感じる事業者としては、今回の変更を歓迎できないかもしれません。ただしLINE@はこのような事業者にも救済策を設けています。というのも新サービスへの移行は任意とされており、移行を行わない限りは現在のLINE@の機能と料金を継続して利用できるという旨の発表もされているのです。
すでにLINE@を運用している事業者は、このツールを運用するにあたって旧サービスと新サービスのどちらに利があるのか、2019年春以降の移行を前にあらかじめ検討しておく必要がありそうです。
まとめ
不用品回収業であれば見積もりや回収時のコミュニケーション、リサイクルショップであれば入荷情報や買取情報の発信と、LINE@はリサイクル・リユース業全般においても非常に有効なツールです。とりわけリサイクルショップを営む業者にとっては、使わない手はないと言っても過言ではないほど強力な武器でしょう。
今回発表されたLINE@のサービス変更を端的に言い表すとすれば、フリープランを利用している事業者にとってはタイムライン投稿・機能への制限解除などプラス面が大きく、有料プランを利用している事業者にとっては運用方法次第では主にコストでマイナス面が見られる変更だと言えます。
そして、現在LINE@を利用していない事業者にとってみれば、LINE@導入へのハードルが明確に下がったという点で大きなプラスです。今まで料金等の面から導入を見送っていた業者は、来春からの導入に向けて検討を進めてみてはどうでしょうか。