トラックで回収に向かう際、事故などのトラブルにあってしまったらリサイクル業者にとってはかなりの痛手になります。
顧客のもとに向かうのが遅れてしまうだけでなく、回収物や商品が道路に散らばって、民間への被害拡大も考えられますよね。
もちろん、トラックの運転手や事故を起こした相手の命に関わる可能性だって出てきます。
今回はそんな事業車両の事故を未然に防ぐため、実際に起こりうるトラブルの事例をご紹介します。
損害・被害を最小限にするポイントも記載しますので、トラック運転手の方はぜひ目を通してみてください。
軽トラック運転の際に気をつけたい衝突事故
運搬の際に頻繁に用いる軽トラック(以下、軽トラ)は、小回りが利く上に最大積載量が350kgと大変優秀な事業車両です。
また維持費も比較的に安いため、個人で軽トラを所有し、組合に加入した上で個人事業主として活動する方も多いのではないでしょうか。
しかし、軽トラを運転するのであれば、一般乗用車以上に衝突事故のリスクが大きいということを理解しておかなければいけません。
軽トラには衝突時に運転手を保護する「クラッシャブルゾーン」がない
「クラッシャブルゾーン」とは、車の衝突時にエネルギーを吸収して運転手や荷物などを保護する部分のことです。
しかし、軽トラはフォルムからもわかるように、そのクラッシャブルゾーンがほとんどありません。
そのため、電信柱や外壁などのちょっとした正面衝突事故でも、場合によっては命取りとなってしまう可能性が高いのです。
軽トラで事故時のダメージが比較的少ないのは「セミキャブタイプ」
軽トラにはシートの真下に前輪がある「フルキャブタイプ」と車体の前に前輪がある「セミキャブタイプ」があり、事故の際にダメージが少ないのは後者のセミキャブタイプだと言われています。
一概には言えませんが、フルキャブタイプの軽トラで事故を起こしてしまった場合、タイヤが前方に無いためキャブ内部…運転席付近にまで激しい損傷を引き起こす可能性が高いのです。
軽トラを運転する際は、より安全な走行を心がけることが大切
エアバッグの強化やボディー耐性を上げるなど、各メーカーでも安全性をより高める対策を取っています。
しかし、やはりフロント部分のクラッシャブルゾーンが無いと、エアバッグが作動しても別車両や衝突物がめり込んできてしまうリスクがあることは否めません。
これはフルキャブ・セミキャブに関係なく、軽トラを運転するのならば避けられない問題です。そういった事も踏まえ、運転手は安全運転をより心がけることが大切です。
軽トラに積んだ荷物が原因の物損事故を防ぐ方法
軽トラに積んだ荷物が落下して後続車を直撃してしまったり、落下物を避けた際に交通事故を引き起こしてしまうというケースもあります。
このように荷台に積んだ荷物の落下で事故が起きてしまった場合、過失を問われるのはもちろん軽トラの運転手です。
軽トラは気軽に積み下ろしが出来る反面、油断するとカーブの遠心力で荷物が投げ出されてしまう危険性があります。
このような事故を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか?
荷台の荷物は背の高いものから積み込み南京結びで固定!
軽トラを運転する前は、当然のことですが荷台の荷物をしっかりと固定することが重要です。
また、軽トラの運転にまだ自信がないという方の場合、最大積載量である350kgいっぱいまでに荷物を積むことはおすすめできません。
積み方としては、冷蔵庫や洗濯機など大きく背の高いものを先に積んでから運転席側に寄せて固定し、その後に段ボール箱のような背の低いものを隙間なく積み込むやり方が良いでしょう。
さらにロープで荷物を固定する際は、遠心力で投げ出されてしまわないようにしっかりと荷物を南京結び(万力結び)で結びつける事をおすすめします。
南京結びは少し難しい結び方ですが、大きな事故を起こしてしまわないためにも是非マスターしておきたいものです。
もしもの事故の時に役立つ「任意保険」にはしっかり加入!
万が一、荷台から荷物が落下して事故を起こしてしまった場合は、まず自分の「任意保険」をチェックしましょう。
仮に任意保険の中の「車両保険」に加入していなかった場合、修理費用を自分で支払う責任が生じます。
また、車両保険に加入していたとしても、等級に響いてしまう可能性があります。必要となる修理費用の額によって、保険を使ったほうが良いのか、自腹を切ったほうが良いのかを考えましょう。
とはいえ、任意保険は物損事故が起きてしまった際、大きな賠償からあなたを守ってくれるものです。
加入していない…という方は今のうちから加入して、万が一に備えた上で事業に取り組みましょう。
大型・軽型トラックの「過積載」による横転と火災事故
トラックに最大積量を上回った荷物を積み込むことを「過積載」と言います。
この過積載は、法的措置や罰金が取られる違法行為ですが、民間をも巻き込む重大な事故も引き起こしかねない大変危険な行為なのです。
実際に起きた事故事例
運転手であるDさんは、朝8時30分にトラックで会社を出発。
その後、化学工場にて硫黄が含まれる肥料の荷積みを行ない、再びトラックの走行を始めました。
しかし、事故現場となったT字交差点の300m手前でブレーキの効きが悪くなり、センターブレーキで減速を行ないましたがトラックが停止することはありませんでした。
その結果、右折の際に道路左側へと横転、火災まで引き起こす事になったのです。
過積載は絶対にNG! しっかりと運行管理者に確認を
一番の原因は、もちろん過積載にあります。
そして運転手であるDさんは、積載量が規定値を超えるにも関わらず荷物を積み込んでしまったうえに、坂道でフットブレーキを多用し、ベーパーロックを引き起こしていた事も判明しました。
対策としては、積載量が規定値を越えてしまう場合は独断で荷物を積み込まず、まずは運行管理者に指示を仰ぐことが重要です。
前述の通り、過積載は違法行為です。プロの運転手である以上、しっかりと確認を行なう姿勢を保ちましょう。
また、ブレーキについても、アップダウンの多い区間はフットブレーキを多用せず、フートブレーキやエンジンブレーキなどの補助ブレーキを併用することを心がけてください。
事故によるトラブルを未然に防ぎいでクリーンな回収作業を
大型トラックなどの事業車両が引き起こす事故は、怪我人や死者を大勢産み出してしまう可能性があります。
プロとしての自覚をしっかりと持ち、事故を未然に防ぐこと。そして、もし事故が起きてしまった場合も慌てず、素早い対応を心がけて仕事に臨みましょう。