このページでは、リサイクルショップ(古物商)とはどのようなものか、リサイクルショップを経営するためには何が必要なのか。リサイクルショップ(古物商)とはそもそも、どのようなものかを法令や数字なども交えながら、分かりやすく解説していきます。Q&Aも記載していますので、参考にしてください。

INDEX
  1. リサイクルショップとは
  2. リサイクルショップを開くために必要なもの
  3. 古物商の許可があると出来る事
  4. リサイクルショップの確認義務
  5. リサイクルショップに関する数字
  6. 終わりに

リサイクルショップとは

古本屋

リサイクルショップと聞いて、思い浮かべるのは何でしょうか?ほとんどの人が、広い倉庫のような建物の中に服やタンス、食器などが並べてあるお店を想像したと思います。もちろんそれも正解なのですが、もっと身近な古本屋、例えば「ブックオフ」もリサイクルショップですし、中古ゲームを扱う例えば「ゲオ」もリサイクルショップです。
一般的には、リサイクルショップと言われていますが、正確にはリユースショップと言います。リユースとは、そのままの形体でもう一度使うこと。再使用する事を意味します。古本屋は本をそのままの形で売りますので、正確にはリユースショップに分類されます。
本来のリサイクルの意味は再循環です。つまり、リサイクルショップとは、例えば、空き缶を回収して溶かして新しい循環に乗せたり、古紙(新聞紙等)を回収し新しくトイレットペーパーなどに再循環させたりして売るお店の事でした。しかし、一般的にリサイクルショップとなっている事から、このページでのリサイクルショップとは、古本屋であり、中古ゲーム販売店であり、中古雑貨店などとお考え下さい。

リサイクルショップを開くために必要なもの

古物商許可証必要なものは商品、場所など色々とありますが、それ以上に大切なのが、古物商の許可です。この古物商の許可を得ずにリサイクルショップを営業すると、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金の刑罰が科される可能性があります。

リサイクルショップを経営するためには、営業所がある都道府県の公安委員会の許可を受けなけれなりません。例えば、大阪で営業する場合は大阪府の公安委員会、また、大阪府と京都府で2店舗経営するためには、大阪府と京都府それぞれの公安委員会に許可を受けなければなりません。公安委員会に申請すると概ね40日以内に許可・不許可の連絡が来ます。逆に言うと、思い立っても40日間は営業が開始できませんので、計画的に行動しましょう。

古物商の許可があると出来る事

古物商の許可があると様々な事が出来るようになります。色んなリサイクルショップに例えて紹介していきます。

①古物を買い取って売る事できます

古着を持って来店したお客さんの古着を買い取って、その古着を違うお客さんに転売する事が出来ます。

②古物を買い取って修理等して売る事できます

バイクを売りに来たお客さんの中古バイクを買い取って、そのバイクの不良な箇所や外面の傷などを修理し綺麗にしたり、付加価値を付けたりして、そのバイクを違うお客さんに転売する事が出来ます。

③古物を買い取って使える部品等を売る事できます

中古自動車店で自動車を売りに来た方から車を買い取って、その車の良い部分、使える部品、例えばエンジンやマフラーなどを個別に分解し、その分解したエンジンやマフラーを個別に転売する事が出来ます。②と似ていますが、こちらは部品を修理して個別に転売する事も可能です。

④古物を買い取らないで、売った後に手数料を貰う事ができます

これはいわゆる委託販売の形態で、古物をお客さんから預かって、売れたら手数料を貰います。例えば、不要になった指輪などをお客さんから預かります。1万円で売れたら、委託販売手数料として、事前に決めていた売買金額の10%の1000円を手数料として貰います。つまり、古物の委託販売の場所貸しも可能と言う事です。委託手数料などは、自由に決める事ができます。

⑤古物を別の物と交換する事ができます

子供たちに人気のいわゆる「カードゲーム」の中古品のカードを交換する事が例に挙げられます。カード以外にもバイクや食器、家具なども交換する事が可能です。

⑥古物を買い取ってレンタルする事ができます

古本屋などが行っているいわゆる貸本サービスの形態です。お客さんから古物を買い取り、それをレンタルする事が可能です。「TSUTAYA」などで行われているCDやDVDのレンタルは、新品ですので、古物商の許可は必要ありません。あくまでも、中古品を買い取ってレンタルする場合は、古物商の許可が必要です。

⑦国内で買った古物を国外に輸出して売る事ができます

海外に日本で使われていた自転車やバイク、家電やパソコンなどの中古品が出回っている事は有名な話だと思います。国内において、古物を買い取り、それを他国に輸出する場合は、古物商の許可が必要になります。

⑧上記をネット上で行う事ができます

①ないし⑦をネット上で行う場合も古物商の許可が必要です。実際の店舗と同じように上記の様々な売買、交換、レンタルする事をネット上で行うには、古物商の許可が必要です。

自分が海外に行って買い付けてきた服を売る場合は古物商の許可は必要か?

必要ありません。
自分が海外に行き、購入してきた商品を販売する場合は古物商の許可は必要ありません。ただし、他の業者が海外で買い付けて来たものを購入し、転売する場合は古物商の許可が必要になります。

リサイクルショップの確認義務

リサイクルショップの商品の仕入れ先は、大きく分けて3つです。メーカーの在庫等を購入する場合。古物市場主が開催する古物市場(古物市場主(2号営業)とはどのようなものか?)で購入する場合。個人のお客さんから購入する場合の3つに分類されます。その時に、リサイクルショップには様々な確認の義務が課されています。

古物営業法の第一条は、このような条文になっています。

この法律は、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。
参考情報:古物営業法
盗品を売買する男性

リサイクルショップに課せられている一番のポイントは、その売りに来られた商品が盗品でない事の確認です。古物営業法はもちろんですが、犯罪収益移転防止法、古物営業法施行令、古物営業関係法令の解釈基準等など様々な法令や関連通達も見ておかないといけません。また都道府県別に古物営業法等で求めている事以上の確認を条例で課している都道府県もあります。本人確認を疎かにしたり、盗品の譲受などをしたりした場合には、懲役刑や罰金刑に処せられる可能性もあります。どのような本人確認が必要なのか、さらにはリサイクルショップ独自の買い取り時ルールをしっかりと決めておかないといけません。

運転免許証

第十五条 古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。
一 相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。
二 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書(その者の署名のあるものに限る。)の交付を受けること。
参考情報:古物営業法

このように古物を買い取る時には、売りに来た方の住所や氏名、職業や年齢などを確認し、売りに来た方にその旨を書いて貰う用紙を交付し、住所や氏名などを書いて貰わないといけません。

ここから少しややこしいのですが、買い取り価格が1万円未満のものについては本人確認等をしなくても良いのですが、万引き等が多い下記の商品の場合は、どのような購入金額であれ、15条の確認をしなくてはいけません。

古物営業法施行令により、一万円以下でも本人確認が義務づけられているもの

一 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(ねじ、ボルト、ナット、コードその他の汎用性の部分品を除く。)を含む。)
二 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物
三 光学的方法により音又は影像を記録した物
四 書籍
参考情報:古物営業法施行令

つまり、漫画本やゲームソフト、DVD、原付バイクなど盗難が非常に多く、被害額が多いものについては、リサイクルショップはどのような買い取り価格になるにせよ、本人確認の義務を課せられています
逆に、衣類や靴などの商品は、このような義務が課せられていませんので、購入価格が1万円未満の場合は、本人確認を省略する事も可能です。これも自由なのですが、リサイクルショップ独自での本人確認などをしっかりとする事で余計なトラブルに巻き込まれる事が少なくなるでしょう。

この本人確認は、リサイクルショップを守るためでもあります。古物営業法の20条にはこのような条文があります。

古物商が買い受け、又は交換した古物(商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百十九条に規定する有価証券であるものを除く。)のうちに盗品又は遺失物があつた場合においては、その古物商が当該盗品又は遺失物を公の市場において又は同種の物を取り扱う営業者から善意で譲り受けた場合においても、被害者又は遺失主は、古物商に対し、これを無償で回復することを求めることができる。ただし、盗難又は遺失の時から一年を経過した後においては、この限りでない。
参考情報:古物営業法

上記の表にない自転車もかなりの数が窃盗の被害にあっています。リサイクルショップが自転車を買い取りをする時に一万円未満だからといって、本人確認を省略した場合、それが盗品だった時にはどうなるのかを考えてみましょう。

自転車を盗まれた人がリサイクルショップにその自転車を返してくれと言った場合は無償で返還しないといけません。窃盗が行われた時から1年間に限るのですが、1年間このリスクを負う事になります。ここで本人確認をしておけば、警察に通報する事もでき、事件の解決がスピーディーになります。また、この窃盗した盗品を売りに来た方に対しては、求償を求める事もできます。確かに、500円や1000円の商品などでいちいち本人確認をしていると時間も手間もかかりますが、自己防衛のために法令で定められていなくても独自の本人確認などをするのが良いでしょう。

まとめ

リサイクルショップが一番気を付ける事は盗品の買い取り
本人確認は法令で定められているものと会社独自のものは違う
漫画本等、万引きの多い商品は少額でも本人確認義務が必要

リサイクルショップに関する数字

リサイクルショップは、多くの会社が多用な運営をしています。
シェア率を見てみましょう。

中古書籍の市場グラフ市場規模が995億円の書籍分野において、売上が1位の「ブックオフチェーン店」は536億円の売り上げがあります。シェア率で見ると、53.9%です。

中古ブランド品の市場グラフ市場規模が2397億円のブランド品分野において、売上が1位の「コメ兵」は265億円の売り上げがあります。シェア率で見ると、11.1%です。

古着の市場グラフ 市場規模が1504億円の衣料・服飾雑貨分野において、売上が1位の「ジャンブルストア」は329億円の売り上げがあります。シェア率で見ると、21.9%です。

中古メディアゲームの市場グラフ市場規模が1070億円のメディア・ゲーム分野において、売上が1位の「ゲオ」は421億円の売り上げがあります。シェア率で見ると、39.4%です。

中古玩具・模型の市場グラフ市場規模が433億円の玩具・模型分野において、売上が1位の「エーツー」は62億円の売り上げがあります。シェア率で見ると、14.4%です。

中古カメラ・周辺機器の市場グラフ市場規模が558億円のカメラ・周辺機器において、売上が1位の「マップカメラ」は82億円の売り上げがあります。シェア率で見ると、14.8%です。

書籍分野の「ブックオフ」を除いては、シェア率が50%を超えている分野がありません。そのためどの分野においても参入の障壁が少ないのがこのリサイクルショップ(古物商)の業界と言えるでしょう。独自の手法やサービスで売り上げを伸ばしている中小のリサイクルショップも多数あります。また、ネット販売もできますので、日本全国或いは世界中に対して販売網を広げれるのもリサイクルショップ(古物商)の特徴です。

終わりに

リサイクルショップを経営するためには、様々な関連法令をしっかりと読み込まなくてはなりません。また、警察庁や環境省など様々な官公庁が出してくる通達などにも目を通さないといけません。また、盗品などを購入してしまわないように、売りに来た方の本人確認の独自のシステムを作ったり、買い取るにあたって書いて貰う書類も作ったりしないといけません。許可が出るには40日程度かかりますので、公安委員会に古物商の許可の申請をしてから、これらの確認事項のシステム構築などもしっかり作りこみましょう。