指示棒を持っているメガネの女性

近年、主に高齢者によるゴミ屋敷が社会問題化してきています。衛生面や安全面を考えると、なるべく行政に対応してほしいところですが、法律はおろか、条例もない自治体がほとんどというのが現状です。

このままの状況が続けば、今後不用品回収業者や便利屋業者、あるいはゴミ屋敷の清掃を専門にする業者のニーズが拡大してくるのは間違いないでしょう。

ただゴミ屋敷問題の難しいのは「ゴミを片付けただけ」では根本的な解決にならないという点です。専門知識と経験を持った業者でなければ、「片付けたあと1ヶ月もしないうちにまたゴミ屋敷に」という結果になる可能性も高くなってしまいます。

今後こうしたゴミ屋敷問題についての理解が深まっていけば、依頼者側の業者を選ぶ目も確実に厳しくなるでしょう。そうなったときに効果を発揮するのが、2019年に発足した「ゴミ屋敷認定協会」が運営する「ゴミ屋敷清掃士認定」です。

以下ではゴミ屋敷問題の現状と今後をざっくりと解説するとともに、ゴミ屋敷清掃士認定の持つ可能性について考えます。

INDEX
  1. 核家族化×高齢化でゴミ屋敷は増えていく?
  2. ゴミ屋敷清掃で求められるのは「技術・知識」と「信頼」
    1. ゴミ屋敷問題の根本原因
    2. 依頼者は「技術・知識」と「信頼」を求めている
  3. 「ゴミ屋敷清掃士認定」の取得で差をつける
    1. 「ゴミ屋敷清掃士認定」とは?
    2. 資格の認知度が上がれば他社との差別化になる
  4. まとめ

核家族化×高齢化でゴミ屋敷は増えていく?

ゴミ屋敷と老夫婦

住んでいる本人の健康問題だけでなく、悪臭やそれにともなう体調不良、ネズミやゴキブリなどの感染症の原因となる害獣・害虫の発生など、周辺住民に対しても被害が出るのがゴミ屋敷の問題点です。

ではどんな人がゴミ屋敷に住んでいるのかと言えば、半分以上が一人暮らしの高齢者です。2018年1月に日本都市センターが全国の自治体全814市区を対象に行なった調査によれば、65歳以上が55.9%、65.8%が同居人は「いない」と回答しています。

日本はこれからますます高齢化社会になっていきます。核家族化はもちろんのこと、少子化の現状を見てもわかるように、結婚しない人も増えていくでしょう。するとゴミ屋敷の住人に多い一人暮らしの高齢者も今よりさらに増えていくと考えられます。

その結果として、全国のゴミ屋敷の数も徐々に増えていく可能性が高いのです。

ゴミ屋敷清掃で求められるのは「技術・知識」と「信頼」

作業服の男性

ゴミ屋敷問題の根本原因

ゴミ屋敷が増えていけば、必然的にゴミ屋敷清掃を行う業者へのニーズも高まります。しかし単純にゴミ屋敷を片付けるだけなら、一般廃棄物収集運搬業許可を取得するか、取得業者と提携すれば、難しい話ではありません。

問題は、ゴミ屋敷の根本原因が単に「片付けられない」だけではない点にあります。

というのもゴミ屋敷の住人は、認知症や関節痛、うつ病やためこみ症などの心身の病気にかかっていたり、病気が原因で家族や近隣住人とトラブルを起こし、地域の人間関係を築けていなかったりすることが多いのです。

またゴミ屋敷の住人のなかでゴミに対する認識が違うことも、ゴミ屋敷問題を難しくしています。

ゴミをゴミとわかっていて片付けられない人は、周囲の人間や業者が「片付けましょう」と言うと、比較的素直に協力してくれます。しかしゴミを宝物と思っている人は、片付ける必要を感じないため、なかなか協力してくれません。

本人の病気や失われた地域の人間関係、ゴミに対する認識といった問題をクリアしてこそ、ゴミ屋敷問題は本当の意味で解決できるのです。

依頼者は「技術・知識」と「信頼」を求めている

夫婦

幸か不幸か、今はまだゴミ屋敷清掃を依頼する人たちは「とにかく片付けることが大事」と考えています。そのため業者はただ片付ければいいだけというケースが多いわけです。

しかし今後世間のゴミ屋敷への理解が深まり、依頼者がより根本的な解決を望むようになれば、状況が変わる可能性が高くなります。

例えば、単に片付けるだけの業者よりも、ゴミ屋敷問題の根本を理解したうえで仕事をしてくれる業者を求めるようになるかもしれません。そうなれば、依頼者の目から見て、ゴミ屋敷問題解決のための技術と知識を持っていることが一目でわかるようなアピールポイントが必要になります。

またゴミ屋敷の増加に合わせて、悪徳業者が増えてくる可能性も無視できません。

現時点でもリサイクル業界には悪徳業者が多いため、依頼者もゴミ屋敷清掃業者を選ぶときにはこの業者は信頼できるかどうかも気にするはずです。これもやはり、依頼者目線でわかりやすいアピールポイントが必要です。

このアピールポイント作りのために検討するべき選択肢の一つが、「ゴミ屋敷清掃士認定」の取得です。

「ゴミ屋敷清掃士認定」の取得で差をつける

ゴミ屋敷清掃士認定協会HP
引用元: 公式ホームページより

「ゴミ屋敷清掃士認定」とは?

ゴミ屋敷清掃士認定とは、2019年からスタートした一般社団法人ゴミ屋敷清掃士認定協会が運営する認定制度です。

敬意を持って行動すること ゴミ屋敷を形成してしまった方と真摯に向き合う
より良い社会にすること ゴミ屋敷の社会問題化の食い止め方を常に考える
安心安全を徹底すること ゴミ屋敷のリスク回避と清掃人員の安全対策を行う

引用元: 公式ホームページより

上表の3つを理念に、プロとしての「技術」「知識」「自覚」を持ったゴミ屋敷清掃士の選任を行なっています。

資格の認知度が上がれば他社との差別化になる

差別化のイメージ

一般社団法人ゴミ屋敷清掃士認定協会はまだ発足したばかりで、正直なところ、まだまだ認知度は高くありません。

しかしここまで見てきたように、ゴミ屋敷問題は今後高い確率で深刻化していきます。同協会、そしてゴミ屋敷清掃士という資格の認知度が上がっていく可能性は十分あります。

そうなれば、ホームページなどに「ゴミ屋敷清掃士認定取得済」といった文言を掲げるだけで、依頼者からの印象がアップし、依頼数アップにつながります。

ゴミ屋敷清掃士認定の可能性を信じて、今のうちから取得しておくのも、未来を見据えた戦略の一つと言えるのではないでしょうか。

まとめ

日本の核家族化や高齢化は、今後もおそらく止まることはありません。そのため高い確率でゴミ屋敷問題も深刻化していくでしょう。リサイクル業者のサービスは、きっとそのとき依頼者の役に立つことができます。

ただし数多くのゴミ屋敷清掃業者のなかから自社を選んでもらうためには、「技術・知識」だけでなく、企業としての「信頼」が必要不可欠です。ゴミ屋敷清掃士認定は、依頼者が「この企業は信頼できるかどうか」を判断するためのわかりやすい基準になる可能性を秘めています。

企業ブランディングの一環として、認定取得を検討してみてはいかがでしょうか。