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鉄や非鉄金属、プラスチックなどの素材を含む雑品スクラップですが、その種類は多岐にわたり、単価も1kg数円のものから数百円になるものまで様々です。
今回は、そんな雑品スクラップの種類を詳しく解説し、市場におけるそれぞれの単価の目安についても調べてみました。

さまざまな雑品スクラップ

INDEX
  1. 雑品スクラップの種類と単価の目安
  2. 中国への輸出規制の影響で、雑品スクラップは国内リサイクルへ

雑品スクラップの種類と単価の目安

有料処分になる雑品スクラップご存知のこととは思われますが、一口に雑品スクラップと言ってもその種類は多岐にわたり、中に含まれる鉄や非鉄金属の割合、雑品スクラップに含まれるダストの混入状況などにより、その単価は大きく変動します。
中には危険物や、リサイクル不可能で有料処分になってしまうものもあるため、回収時やスクラップ業者へ持ち込む際には、その雑品スクラップがどこに分類され、単価はどのくらいになりそうかということをあらかじめチェックしておくことは大切ですよね。
(※ご存知の通り、単価は日々変動します。あくまでも目安とお考えください)

    • ◆上雑品

単価目安:8円/kg前後
雑品のうち、鉄アルミや銅、真鍮などの非鉄金属の割合が高く、鉄やプラスチックの付着量が少ないものが上雑品(雑品上)と呼ばれます。

    • ◆雑品下

単価目安:4円/kg前後
上雑品とは反対に、金属以外のプラスチックなどの素材が多く使われているものを指します。

    • ◆家庭雑品

単価目安:5円/kg前後
家電製品やOA機器をはじめ、自動販売機や医療機器なども対象となり、鉄やプラスチックの中に含まれる非鉄の割合が少ないものが対象です。
事故や火災のもととなるものはあらかじめ取り外しておく必要があります。(例:照明器具の場合は電球や蛍光灯、コピー機の場合はトナー、暖房器具の場合は灯油などといったもの)

    • ◆工業雑品

単価目安:20円/kg前後
工業用・産業用の機械が中心で、鉄や銅、プラスチックなどを含むものをいいますが、非鉄金属を含む割合が半分以上のものが主に対象となります。

    • ◆給湯器

単価目安:130円/kg前後
家庭用、業務用問わず、内部にある釜が銅製であることが重要で、銅釜のメッキの有無により価格が異なってきます。釜が銅以外の素材であったり、釜がない場合は家庭雑品など別の分類になることがあります。

    • ◆配電盤・分電盤

単価目安:35円/kg前後
配電盤や分電盤に使用されている部品や配線には銅線が多く使われています。外装のみの場合はこれには含まれず、鉄くずなどの扱いになります。

    • ◆キュービクル

単価目安:30円/kg前後
公衆電話ボックスや家庭用物置のような鉄製のボックスの中に高圧受電機器を収めた電気室のことです。内部にはコンデンサー、電線、変圧器(トランス)、ヒューズ、スイッチといった様々な電気設備が含まれており、その割合により価格も異なってきます。

キュービクル

    • ◆シールドバッテリー

単価目安:90円/kg前後
密閉型鉛蓄電池のことで、無停電装置やバイクなどで利用されています。鉛の含まれていないものに関してはシールドバッテリーとしての取り扱いはできません。

    • ◆自動車用バッテリー

単価目安:115円/kg前後
鉛が含まれていることが前提で、動作しなくても買取り可能であることがほとんどです。ハイブリッド車に使われているバッテリーには鉛が含まれていないため、自動車用バッテリーとしては扱われません。

    • ◆モーター

単価目安: 45円/kg前後
家電製品や工業製品など、あらゆるものに使われているモーターは、銅製のコイルが多く使われており、コイルが銅製のものの方が単価は高くなります。外側に使われているアルミや鉄などの素材も単価に影響します。

    • ◆エンジン

単価目安: 30円/kg前後
エンジンの多くは鋳物アルミと呼ばれるアルミが使われており、重機など大型なものからバイクなど比較的小型のものも対象となります。

    • ◆アルミホイール

単価目安: 150円/kg前後
普通自動車や軽自動車など、車種に関わらず買取りされます。タイヤ付きのものの方が単価は高くなる傾向があります。

    • ◆トランス

単価目安:35円/kg前後
別名変圧器とも呼ばれる電子機器で、電圧の高さを変換するものです。内部のコアと呼ばれる部分の材質によって単価が異なり、コアの部分がアルミだと安く、銅だと高くなる傾向があります。

    • ◆トランスコア

単価目安:40円/kg前後
トランスの内部にあるコアだけを取り出したもので、外側の部分があらかじめ外されている分、単価はトランス丸ごとの状態のものより高くなる傾向があります。こちらもアルミより銅の方が単価は高くなります。

    • ◆ガスメーター

単価目安:70円/kg前後
一般の住宅などでも使われているガスメーターも対象となります。外装がアルミのものであれば単価が高くなり、鉄製のものは減額される傾向にあります。

    • ◆アルミラジエター

単価目安:65〜300円/kg前後
過熱を抑える冷却装置として自動車やエアコンになどに内蔵されている冷却装置で、フィンと呼ばれるアルミ製の羽に導管が通っています。含まれる金属の割合によって単価にも幅があります。

    • ◆ハードディスク

単価目安:150円/kg前後
基板のあるものが前提となり、基板のないものに関しては家庭雑品として扱われます。基板を囲うフレームが鉄やプラスチックで出来ている場合は取り外す必要があります。

    • ◆ブレーカー

単価目安:170円/kg前後
家庭用としてもおなじみの分電盤の内部に配置してある配線用遮断器や漏電遮断器です。含まれる銅が多いほど単価が高くなります。

    • ◆ボイラー

単価目安:30円/kg前後
中の釜などがステンレスのものが対象です。中の釜が鉄製であったり、釜がない場合の多くは家庭雑品として扱われます。

中国への輸出規制の影響で、雑品スクラップは国内リサイクルへ

スクラップの輸出

中国でのスクラップ需要が高まりはじめた2000年頃から、雑品スクラップの多くは中国へ輸出されていました。しかし、その後中国の生産過剰によりスクラップ価格は暴落し、2016年には雑品スクラップの中に含まれる有害物質が環境汚染をもたらしていることや、雑品スクラップから取り出された鉄鋼材に粗悪なものが多いことから、中国は非鉄スクラップの輸入規制を始めました。
さらに2016年には、日本においても環境省が収集〜輸出〜リサイクルという一連のサイクルにおける管理を業者に義務付け、輸出規制を強化する方針が固められました。そのため、それまで中国が担っていた雑品スクラップのリサイクル工場という役目を、国内で担う必要が出てきたのです。

これまでは、選別に手間のかからないスクラップは国内で、雑品スクラップのように選別に手間のかかるものは海外へ、という流れが出来上がっていましたが、これからは国内でリサイクルの工程を完結させる必要があるため、選別技術への需要が高まるだけでなく、人件費などコスト面の見直しも避けられないでしょう。
もしかしたら、あなたの会社で既にそうした見直しが検討されているかもしれませんね。動向の変化により課題も多い雑品スクラップ市場ではありますが、同時にそこには新たなビジネスチャンスが隠れているのかもしれません