リサイクル業など専門的な業種の方はもちろん、最近はDIYなどで日常的に工具を使う方が増えてきました。

工具の種類はいろいろありますが、いずれも定期的にお手入れしないと、サビが浮いてきたり、スムーズに動かなくなったりとさまざまな不調をきたす原因となります。

工具のメンテナンスというと面倒なイメージがありますが、手順さえ知っておけばそれほど手間も時間もかかりませんので、ぜひ愛用の工具をお手入れしてあげましょう。

定期的なお手入れで長持ち!工具のメンテナンス方法

充電工具(インパクトドライバー、電動ドリルなど)

工具の定番であるインパクトドライバーや電動ドリルは使用頻度も高いため、こまめなメンテナンスが必要不可欠です。

まず本体はやわらかい布で拭き、汚れを落としましょう。変色の原因となるので、濡れた布やシンナー、ベンジンなど揮発性のあるものの使用はNGです。

細かい部分ですと、本体とバッテリをつなぐ接点端子部やカーボンブラシ部はホコリやゴミが付着しやすいところなので、しっかり掃除しましょう。端子が汚れていたら紙やすりなどで少し削ると汚れが落ちやすくなります。カーボンブラシ部はエアガンなどを利用すると簡単に汚れを吹き飛ばせて便利です。

また、使用後はビット部分に機械用のオイルを塗っておくとさび止めになりますよ。

なお、カーボンブラシが摩耗していた場合は交換となります。商品によっては限界摩耗線というのがついており、そこまで摩耗しているかどうかが交換の目安となるのでチェックしてみましょう。

交換の仕方はとても簡単で、マイナスドライバーなどでブラシのキャップをはずし、新しいものと取り替えるだけ。カーボンブラシは2つ付いていますが、交換するときは必ず2つ同時に行いましょう

外側から見ただけではカーボンブラシの摩耗は確認できないので、定期的に取り出して点検してみることをおすすめします。

エア工具(釘打ち機など)

釘打ち機などのエア工具を使う時は、使用の前後に専用のオイルを数滴さすようにしましょう。

オイルは釘打ち機とエアホースの接続カプラ部分に差しますが、それだけだと全体に行き渡らないので、オイルを差したら釘を装填しない状態で5~6発ほど空打ちします。そうすると本体全体にまんべんなくオイルが回り、主に樹脂系パッキンの摩耗を防止できます。

もし釘づまりする頻度が高かったり、釘送りがスムーズにいかないなど、何らかの不調を感じている場合は、釘送り部分のドアを開けたまま空打ちしてみましょう。

ピストン運動している部分の動きが鈍いようなら、その部分に専用のオイルを差してお手入れします。釘送りが悪いまま放っておくと余計に部品が摩耗してしまう原因になるので、不具合を感じたらすぐに対処するのが肝心です。

なお、釘打ち機に関しては、温度が極端に低い場合、ホースの凍結によって圧縮した空気が本体に送られず、釘が打てなくなることもあります。そんなときは本体を温めて凍結を解除すると元に戻ることがあるので、寒い時に釘打ち機が使えなくなった場合は一度試してみましょう。

研削・研磨工具(ディスクグラインダーなど)

ディスクグラインダーは比較的丈夫なので、日常的にできるメンテナンスは限られています。ディスク交換時にカバーの内側にたまったホコリやゴミを取り除いたり、本体をから拭きしたりすればそれだけで長持ちするでしょう。

ただ、ディスクグラインダーのような研削・研磨道具は本体への振動が大きく、そのぶんネジが緩みやすい傾向にあります。

ネジが緩んだまま使用すると危険なので、掃除のたびにネジの緩みがないかどうか確認し、必要に応じてドライバーなどでしっかり締めるようにしましょう。

切断工具(チップソーなど)

チップは摩耗しやすいので、定期的に欠けや割れがないか点検しましょう。少しでも欠け、割れが見つかったらすぐに新しいチップと交換します。そのままにしておくと作業中に破片が飛んだりして思わぬ事故につながる可能性があるので要注意です。

また、チップはさびにくいものの、土台はさびが発生することがあるので、使用後は防錆油で拭いてから保管するようにしましょう。

一般的な工具(スパナやラチェットなど)

工具はむき出しになっているものが多く、さびが浮きやすいので、定期的に掃除した上で、仕上げに防錆油を塗っておくと長く使用することができます。

特に湿度の高い時期は、工具箱に入れたまま放置するとすぐにさびが出てくるので、梅雨に入る前にメンテナンスしておきたいところです。衣類用の除湿剤などをひとつ入れておくのもよいでしょう。

もしさびが出てしまったら?効果的な落とし方5つ

きちんと手入れしていても、100%さびを防ぐのは難しいもの。工具の中には高価なものも多いので、さびが浮いたからといってすぐに買いかえるのは大変です。

軽めのさびならセルフメンテナンスで落とすこともできますので、さびが浮いてもあきらめずにお手入れにトライしてみましょう。

酢を使う

酢には鉄を溶かす作用があるため、工具にこびりついたさびを落とすのに有効です。ペンチやニッパーなど小さいものなら酢を含ませたティッシュでさびの部分をくるみ、しばらく置いておくと、それだけでさびを落とせます。

より効果的にさびを落としたい時は、水を張ったフライパンの上に酢を入れた耐熱容器を乗せて加熱し、温まった酢の中にさびた工具を入れる方法がおすすめ。大きい工具の場合は温めた酢を掛け回し、しばらく放置しておくだけでも十分さびを落とせます。

重曹を使う

大掃除に活躍するアイテムとしておなじみの重曹は工具のメンテナンスにも役立ちます。重曹を水に溶いてのり状にしたものを、さびた部分に塗りつけて、しばらく置いた後にこすり落とします。細かい部分も掃除できるので、こすり落としには使い古しの歯ブラシなどを使うとよいでしょう。

ワイヤーブラシを使う

ワイヤーブラシには優れた研磨効果があり、こするとさびを削り落とすことができます。市販の研磨剤と組み合わせればさらに効果的ですが、軽めのさびならワイヤーブラシ単体でも十分対応できます。

ディスクグラインダーを使う

ディスクグラインダーを持っている人は、先端部分をワイヤブラシまたはサンドペーパーに取り替えることでさび落としに活用することもできます。

電動ドリルで応用する手もありますが、ディスクグラインダーの方が回転数が高速かつ多いので、より効率的にさびを落とせます。他の方法より手間もかかりませんし、頑固なさびも落としやすいので所有している方はぜひ試してみましょう。

なお、ディスクグラインダーをさび落としに使う場合は、専用のワイヤブラシやサンディングディスクなどを別途用意する必要があります。

灯油を使う

灯油がある場合は、さびついた工具を入れて一晩おいておくと、洗油の代わりとなって汚れやさびをきれいに落とせます。

もちろん専用の洗油も販売されていますが、灯油が余ってしまった時はついでに工具のメンテナンスをするといいかもしれませんね。

さびや故障が起こる前に!定期メンテナンスのすすめ

さびは家庭にあるものや専用品を使えばある程度落とすことはできますが、手間も時間もそれなりにかかってしまいます。

また、故障してしまった場合は素人の手には負えず、メーカーに修理に出すか買いかえることになってしまうので、いかにさびと故障を防ぐかが重要なポイントとなります。

長く放置すればするほどメンテナンスの手間ひまも倍増しますので、自分なりにペースを決めて、こまめにお手入れしておくことをおすすめします。