スマートフォンの普及によって躍進を続けるCtoCサービス。その市場規模は年々拡大傾向にあり、手軽に利用できるフリマアプリの誕生をきっかけに、CtoCを利用した個人中古販売業者が急増しています。
幅広いユーザーに支持され勢いを増していくCtoCサービスを前に、リサイクル業者ができることとは一体何なのでしょうか。
市場規模拡大を続けるCtoCサービス
画像引用元:ヤフオク
かつてはフリーマケットやガレージセールという形で行なわれてきたCtoCですが、インターネットの普及により「ネットオークション」という形で一躍脚光を浴び、1999年にサービスが開始されたYahoo!オークションを中心に大きく発展していきました。
経済産業省による電子商取引に関する市場調査によると、2016年度ネットオークション全体の推定市場規模は10,849億円、そのうちCtoCによる市場規模は3,458億円という結果が出ており、ネットオークションを介したCtoCビジネスは今やスタンダート化しています。
年間3,052億円、新しいCtoCの形・フリマアプリの猛勢
画像引用元::FRIL
今日の一般消費者同士がWEB上で契約・決済を行なう個人間取引、CtoC(Consumer To Consumer)が急速に普及した大きな要因は、手軽にカメラ撮影・インターネットができるスマートフォンの普及と、それに付随するフリマアプリでしょう。
2012年、日本初のフリマアプリ「フリル」を皮切りに、「メルカリ」、「ラクマ」などが続々とサービスを開始。スマホひとつで簡単に個人間取引ができるツールとして急速に浸透、今やフリマアプリ最大手のメルカリに至っては、2016年の年間流通額は1,200億円を超える推計が出ています。
CtoCサービスの市場拡大がもたらすリサイクル業者への影響
このようなCtoCサービスの躍進は、プロのリサイクル業者にどのような影響を与えているのでしょうか。
プロのリサイクル業者を利用する最大のメリットは、手間をかけずに不用品を現金化できるところにあります。
運営コストによるマージンや過剰在庫のリスクなどから、査定価格が低くなるデメリットはありますが、手軽さや即金性を理由に利用する消費者は少なくありませんでした。
しかし、インターネットの普及で「リサイクル業者に売るよりも、個人売買の方が高値で売れる」と知ったユーザーがネットオークションに流れ、さらにスマートフォンを操作すればたった数分で不用品・中古品を販売できるフリマアプリの出現により、リサイクルショップを「手軽さ・手間のかからなさ」で利用していたユーザーもCtoC型WEBサービスに流れている状況です。
リサイクル業者ができる業務効率化4つのポイント
とはいえ、リサイクルショップや不用品回収業者には
・スマホアプリの操作になれない高齢者などネットリテラシーの低い層
・商品を自分の目で確かめてから購入したい買い手
といった特定のユーザー層にはまだ一定の需要があります。
また、
・CtoCサービスを信用しきれず、利用をためらっている層
・過去にCtoCサービスを利用してトラブルに巻き込まれたユーザー
といったCtoCの安全性に不安を抱えている層も少なからず存在します。
そういったユーザー層を顧客として確保するために、今後リサイクル業者にはどのような努力が必要なのでしょうか。
安全性と手厚い商品保証のアピール
画像引用元:フリマアプリ
メルカリなど最近のフリマアプリでは、プラットフォーマーが決済の仲介をし、トラブルを防ぐシステムを設けていますが、それでもCtoCを利用した詐欺やトラブルは多発しています。
また、CtoCサービスを利用して中古品を購入する際の懸念のひとつに、商品の保証面があります。購入して1ヶ月も経過しないうちに壊れてしまった、という話は少なくありません。
実店舗を持つリサイクルショップなどは、店員と顔を合わせて取引できる商品を直接手にとって品質を確認できるといった利点を、安全性を求めるユーザーに対し、全面的にアピールしていく必要があります。
また、商品に保証をつけることも重要です。
追加料金制を設けるものいいですが、「3,000円以上購入で5ヶ月無料保証」というように、条件付きの無料保証サービスを提供する方がより効果的です。
ネット販売を活用し在庫を捌く
リサイクルショップの経営で最も重要なのは在庫管理です。利益率を上げるために大量の商品を安く買い上げたとしも、商品が売れ残っては意味がありません。
ネットオークションやネットモールを積極的に利用し、自社ショップと並行して在庫を捌く「店舗」を確保しておきましょう。
実店舗を持たないインターネット販売のみで運営しているリサイクルショップで、自社のネットショップを持たずネットモールのみで販売している経営者もいますが、リスクマネジメントの一環として、できれば自社のネットショップを構えることをおすすめします。
サーバー代やドメイン料など多少コストはかかりますが、ネットモールの不振やサービス終了など不意のトラブルがあった場合、自社のネットショップを持っていればダメージを最小限に抑えることができます。
インターネット広告に力を入れる
買値と売値の利ざやで収益を得るリサイクルショップにとって重要なのは、「需要のある商品をいかに安く買い取れるか」であり、そのためには多くのユーザーを積極的に集客する必要があります。
そこで重要なのが、インターネット広告です。
今や殆どのリサイクル業者が集客用ホームページ(中にはネットショップと併用したもの)を作成していると思いますが、ただホームページを作っただけでは顧客は集まりません。
ホームページに多くのユーザーを集客するためには、キーワード検索の際にホームページが上位に表示されることが重要となります。
より多くのユーザーの目にとまるためには、
・自分のショップに合わせたキーワードに特化
・「商品名 目的 場所」などターゲットを明確にしたキーワード対策
など、検索順位を上げるためのSEO対策が必要です。
SEO対策についての知識が全くない場合は、課金によって検索エンジンに上位表示されるサービス「アドワーズ」や「リスティング広告」を利用するのも手段のひとつです。
SNSでの情報発信・宣伝
画像引用元:LINE
LINEやTwitter、Facebook、ブログなど、SNSを利用した情報発信や宣伝も効果的です。
新入荷の商品や買取り強化中商品の宣伝、キャンペーンのお知らせなどをリアルタイムに行なえ、ユーザーの声を直接聞くことも可能なSNSは、ホームページとは違ったアプローチが出来る場所として重宝します。
・実名登録で信頼性が高い世界最大のSNS、Facebook
・リアルタイム情報発信&拡散性の強いTwitter
・画像特化でユーザーの視覚に訴えるInstagram
・ユーザー利用率が高く即効性の強いLINE
など、SNSによってその特性はさまざまです。
それぞれの特徴を把握し、複数のSNSを効果的に活用しましょう。
安全性や保証面のアピールとインターネットの活用を!
インターネットを利用した情報発信・宣伝は、今やどんなビジネスにおいても必要不可欠な要素であり、ビジネスの成功に大きく影響します。
リサイクル業者が今後も市場規模の拡大が予想されるCtoCサービスに対抗するためには、CtoCサービスの弱点といえる「安全性や保証面」のアピールと共に、今まで以上にインターネットを活用し、業務の効率化を図る必要があります。